日本では大手不動産ポータルサイトとして一定の評価を得るまでに成長した当社ですが、今後さらなる成長のために何が日本のお客様に不動産ビジネスで求められているのかを調べる目的で海外視察を行いました。そこでヒントを得て4年前に、仕事をリタイアしたシニア富裕層向けにニュージーランドやオーストラリアでのセカンドライフを提案する海外不動産購入セミナーを都内で会場を借りて始めました。セミナーを何度か行っていると来場者はニュージーランドやオーストラリアといった海外でのセカンドライフを過ごすよりも、海外の不動産に投資する方に強い興味を示していました。具体的には、タイ・マレーシア・フィリピン・ベトナムなど新興国の物件を購入し将来的に売却益を得るといったことに関心が高いことが分かりました。
通常のセミナーなら都市圏で会場を借りて参加者は会場に赴いてもらう形で行うのが一般的かと思います。しかし、海外不動産投資はどれぐらい潜在顧客がいるか想定するのが難しく、当社にとっても新規ビジネスで運営費用(会場費用・交通費など)を下げる必要がありました。そこでいろいろ検討した結果、海外では一般的になりつつあり、日本でも普及がはじまったウェビナーを活用できないかといった検討を始めました。
ネットで調べてベンダーにコンタクトをとり様々なウェビナー製品を比較検討しましたが、最終的にPDFやPhotoshop、Illustratorなどで知られているアドビシステムズの Adobe Connect を使うこと決めました。導入のポイントは、Adobe社がグローバル企業であること、Adobe Connectが世界中の企業・官公庁・教育機関・NPOで利用実績があること、映像と音声の品質の良いこと、分かりやすくPC初心者でも簡単な操作性を実現していること、比較的安価な年間費用で提供されていること、しっかりしたサポート体制であること、などを総合的に評価した結果です。Adobe Connect はMeeting・Training・Webinarのアプリケーションがありますが、なかでもウェビナー向けのアプリケーションである Adobe Connect Webinar を採用することにしました。
海外不動産投資ウェビナーは、営業的な内容ではなく、専門家を講演者として招いてアジアの有望な不動産について中立的な情報を提供するという位置づけで準備企画をし、2016年4月にスタートしました。
最初はなかなか集客が旨くいかず、開催しても参加者は数名程度でしたが、「海外不動産購入に関する、失敗しくじりセミナー」など参加者が興味を引きやすいテーマや内容にし、根気よく継続したところ、北は北海道から南は九州まで全国からの参加が入るようになり、その数は徐々に増えてきました。多いときには100名近く集客できることもあります。また参加者も1回だけでなく、その後のウェビナーに参加するリピータも増えてきました。ウェビナーへの集客の方法は自社で持つ顧客データベースへのメールマガジンで告知したり、ヤフーやグーグルなどで広告を出したりすることで集客しております。
ウェビナーに参加する際には、お客様はまずはウェビナーへの参加登録を当社の登録ページで行っていただきます。そしてそれを受けて、当社からメールでウェビナーへ参加できるURLリンク(インターネットのアドレス)を送ります。そして当日開始時間になりましたら送られたメールに記載のURLリンクをクリックしてそのままウェビナー会場(バーチャル)に入室し、講演を視聴していただくという流れです。
もちろん、事前にID、PWを参加者に付与してそれらでログインして入っていただくこともできますが、当社のウェビナーではウェビナー室にIDとPWを入力しなくても入室できる設定で行うことで参加し易くしております。
また、ウェビナーに参加する際に名前を入力して頂くようにしておりますが、参加者は自分以外に誰がウェビナーに参加している見えない設定となっていますので個人情報が漏洩することはありません。もちろん、ウェビナー主催者は誰が参加している分かることができるようになっています。
そしてウェビナーの終了後に、もしお客様が具体的な相談をしたい場合は、詳細の連絡先などを当社に伝えられる仕組みも用意しております。
ウェビナー開催の時は、主催者である当社と講演者は、1時間前にインターネット環境のある当社の会議室に集まり準備をし、時間になりましたら1台のノートパソコンを使って配信を開始します。一方のお客様は自宅のPCからインターネットをつかっての参加がほとんどです。日中の仕事の関係もあるでしょうから、お客様が参加し易いようにウェビナーは夜7時ぐらいから開催し正味1時間程度で終了です。それ以上になると参加者が疲れてくるためです。集中力を持続してもらうという意味では1時間以内がちょうどいいと考えています。
ウェビナーによって自宅のパソコンなどから気軽にセミナー参加をしていただくことで、セミナー参加への敷居を低くすることができました。ある地方からウェビナーを視聴したお客様がその後海外不動産を購入するという案件も出てきていいます。
ウェビナーへの参加者の反応は上々です。「わざわざ会場まで行く必要がなくても必要な情報を得ることができる」。「その場でチャット等を使い知りたいことを確認できる」といった感想をいただいております。また、ウェビナー中の音声や映像が途切れるといったようなトラブルも今まで起こっておりません。
ウェビナーの最後にその場でアンケートをとっておりますが、最後まで視聴して好意的にアンケートに答える方がほとんどです。参加者は比較的年齢が高い層のお客様が多いのですが、トラブルもほとんどありません。 当初のスタート時は懸念事項が沢山あり上手くいくか不安でしたが、結果として杞憂でした。いまはウェビナーの威力を実感しているところです。
当社ではウェビナーをバーチャルなセミナー室として運営しており、当社のコンテンツ以外にも海外不動産の販売を行う事業者にウェビナーの講師として参加してもらいお客様へ情報提供をお願いしております。事業者にとっては、ウェビナー参加者が将来の顧客になる可能性もあるため今後事業者様から費用をいただく形でのビジネスモデルも検討しております。
Adobe Connect を使ったウェビナーによって、海外不動産情報といえば当社の名前がお客様にも浸透してきました。当社にとってウェビナーはビジネスの心強い武器になりました。これからリアルのセミナーと比較し比率は伸びていくだろうと思います。今後もっと使っていきたいと Adobe Connect に大きな期待を寄せております。
以上(2017年5月取材)