【コラム】 はじめてのWeb会議、Webセミナー

全8回にわたり、Web会議、Webセミナーについてご紹介するコラムをはじめます。
Web会議、Webinar、TV会議などの映像や音声を使ったコミュニケーションツールに興味がありこれから活用したいと思っている皆さま向けのコラムです。


1.コラボレーションツールとは何か?

コラボレーションツール」市場は参入企業が増えこれまでないほどに活況を呈しています。
コラボレーションと聞いて、皆さんどんなイメージをお持ちですか?世間では、A社とB社によるコラボ企画だとか製品とか、さらにはアーティストが共演することをコラボなどといった使われ方もします。いろんな分野でコラボレーションという英語の言葉が使われています。ちなみに国語辞書を調べてみると、日本語では「共同作業」を意味する言葉として出てきます。

 

翻って、Web会議/eラーニング/ウェビナーソリューションである「Adobe Connect」を紹介するこのページで、コラボレーションというのはどういった意味を持つのでしょうか。もちろん、他の分野と同様に同じく共同作業という意味で使っています。ただ、コラボレーションツール(道具)の一つであるWeb会議システムは、共同作業に加え遠隔地の人同士を通信でつなぐという要素が含まれてきます。すなわち、コラボレーションツールというのは「遠くの人と人とが通信で結ばれお互いの顔や声を聴きながら資料などを共有しつつミーティングや作業を支援するシステム」と言えるでしょう。


Web会議システムいう本題に入っていく前に、具体的にコラボレーションツールというのは、どういったシステムを指すのかご紹介しましょう。
コラボレーションツールは何らかの資料などを基に遠隔地の人との共同作業を行うものという観点から考えると、IT業界の中でも統一的で明確な範囲はないのですが、さまざまなツールが存在しています。一般的には、それらは、情報が瞬時に双方でやりとりされ共有されるかどうかで「リアルタイム性」のあるツールと「非リアルタイム性」のツールに分けることが可能です。

 

皆さんも馴染みの深いメールやあるいは最近話題になっているチャットもコラボレーションツールと言えます。また、社内では定番のツールにもなっているファイル転送やクラウドストレージも含まれることがあります。情報の送信と受信との間に送信者側と受信者側でタイムラグがありますので、これらは非リアルタイム性のツールといえます。

 

逆にリアルタイム性のあるコラボレーションツールとなると、「遠隔会議システム」あるいは「ユニファイドコミュニケーション」といったツールが代表的です。その中で、遠隔会議システムは、「電話会議システム」「テレビ会議システム」「Web会議システム」の3つを指します。また、ユニファイドコミュニケーションは、遠隔会議システムを包含しつつ、メールや電話、PBX、業務用アプリケーションなどひとつに統合した大規模な統合型システムを概念的に表した言葉になります。


Web会議

 

さて、本稿では、コラボレーションツールの代表格でもある、遠隔会議システム、特にWeb会議システムに絞って解説を進めていきその全体像に迫っていくのが狙いです。導入の検討ユーザにとって参考となるヒントなど提供できればと思っています。

 

遠隔会議システムは、拠点対拠点の間で、通信回線を使い音声・映像・データを相互に通信回線を通して接続することでミーティングを可能にするところが大きな特徴です。その中で、音声を使ってミーティングを実現するのが、電話会議システムです。電話会議システムは、音声で1対1の会話から1対N(多地点)のミーティングが行えるのが特徴で従来の電話や携帯電話あるいは最近ではVoIP電話に対応しています。電話があれば低コストで簡単に導入できるところが大きなメリットですが、声を頼りに会話しますので、相手の様子が見えないというのが少し難点ともいえます。

 

テレビ会議システムは、音声・映像・データ(資料)を交えて遠方の拠点とのミーティングが行えるシステムです。テレビ会議は相手の顔を見て会話することができる点が大きな特徴といえます。昨今、ハイビジョンやステレオ音声などに対応して昔のイメージ(紙芝居とまで言われたこともあります)とは程遠い快適な会議が行えるようになってきています。しかし高価であるというイメージはまだあります。

 

一方で、本稿の主要テーマであるAdobe ConnectなどWeb会議システムは、テレビ会議システムと同様に音声・映像・データを交えた遠隔地とのミーティングが行えます。


Web会議

 

しかしながら、テレビ会議システムと相違する点がいくつかあります。それは、テレビ会議システムが専用端末を使用する一方で、Web会議システムは、汎用のPCで実現しているところがまず一つ目の違いです。汎用PCを使っていることから、テレビ会議システムに比べ、コスト的にも手間的にも導入しやすいです。

 

もう一つの違いは、Web会議システムは、データ共有が得意という点でしょう。PCをベースにしたシステムですので、PCのファイルやアプリケーションなど共有はお手の物です。もちろん、この機能についてはテレビ会議も基本的には可能ですが、共有方法や操作性においてWeb会議はより簡単に行えるといえるでしょう。加えて、最近は、PCに外付けのマイクスピーカーやカメラなどをつないで、ひとつの拠点に5人とか10人とか参加して行うテレビ会議のような使い方も可能になってきています。

 

以上が、テレビ会議とWeb会議の簡単な特徴と違いですが、最近のトレンドとして共通して言えることは、「クラウド」や「モバイル」に対応してきているということです。

 

クラウドにより、特にWeb会議についてはサービスとして利用する形態も可能になってきました。また、端末もスマートフォンやタブレットも対応(マルチデバイス)してきましたので、出張先などでスマートフォンやタブレットからテレビ会議やWeb会議とつないでミーティングを行うということもできるようになってきました。ネットワークがあればどこでも使える使い方が広がってきているといえます。加えて、Web会議上で遠隔講義することができる「eラーニング」や遠方の人も何百人と参加できるオンラインセミナー「ウェビナー(Webinar)」の実現も容易になってきています。

 

テレビ会議システムやWeb会議システムは、これまでは、動画や音声が遅延したり、導入コストが高すぎる、十分なネットワーク帯域をとれないなど「使えない」といったマイナスイメージがありましたが、今やそれらは払拭されたと言っても過言ではないでしょう。遠隔会議システムは、人と人とをつなぐコラボレーションツールとして、これからのさらなる進化が期待されています。

 

次章では、なぜ遠隔会議システムは使えるツールに進化してきたのか、昨今、遠隔会議システムに対して追い風の機運がうかがえるその技術的な進化と社会環境の変化について説明します。