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第9回 特殊なグラフを使った分析

このコラムでは、業務効率化やワークスタイルの充実、福利厚生の充実、人員配置などに日々頭を悩ませている人事の方を対象に、人事データを活用するための分析テクニックをシリーズでご紹介しています。

それぞれのグラフの特徴や効果的な使用方法を理解しておくと、自分で報告資料を作る際や、部下に資料作成を依頼したり、修正のアドバイスをしたりするときにも役に立ちます。
第6回以降はそれぞれのグラフに着目して、各グラフの効果的な活用法についてご紹介いたしました。

第9回目の今回は、「知っていると便利な特殊なグラフ」を使った分析がテーマです。

 

今回の紹介する「特殊なグラフ」

第6回から第8回にかけて、散布図、複合グラフ、100%積み上げグラフをご紹介してきましたが、今回はこれまでにご紹介した一般的なグラフ以外で、「ファンチャート」「ヒストグラム」「ウォーターフォールチャート」をご紹介します。
これらのグラフを使うことで、一般的な線グラフや棒グラフでは可視化することができないデータの特徴や傾向を分析することができます。

今回はこれらのグラフを使った3つ分析テクニックをご紹介します。

 

ファンチャートでデータの増減傾向を比較する

ファンチャートとは、ある基準となる時点を100%とし、それ以降の数値を基準となる時点に対する百分率で表示し折れ線グラフで表したもので、グラフが扇(ファン)を広げたような形をしていることからファンチャートと呼ばれます。
ファンチャートは、データの値の大きさに関係なく、増減傾向だけを抜き出して比較することが出来るため、成長率や削減率などを可視化する際に効果的なグラフになっています。

 

まずは上記のテーブル表のような部門別の月間平均残業時間のデータを使って、ファンチャートを使わない場合の例から見てみましょう。

 

 

このグラフからは、全社の中で残業が多く発生している部門がどこなのかを発見することができます。
この例では、開発本部、営業本部、マーケティング部門、管理本部という順に残業時間が多く、全社の中では特に開発本部に対する対策が必要といえます。

 

 

また、第8回目のコラムでご案内した「100%積み上げ棒グラフ」で表現してみると、各部門の残業構成比の推移を確認することが出来ています。
依然として開発本部における対策が必要であるということには変わりありませんが、4月から6月にかけて残業時間が減少傾向にあり、全社に占める割合についても低くなってきていることがわかります。
逆に管理本部については、全体に占める割合がやや増加してきている様子がうかがえます。

次に、同じデータをファンチャートで表示してみましょう。
2020年4月の数値を100%として、それ以降の5月と6月の数値を4月の数値に対する百分率に変換し、折れ線グラフで表示しています。

 

 

この例では、開発本部、営業本部、マーケティング本部については、4月時点と比べると100%ラインを下回っており、残業時間の改善がみられています。
一方、管理本部については、一番初めの折れ線グラフだけで見ると残業時間が少なく、また、積み上げ棒グラフで見た場合も全社に占める割合がやや増加している程度で、一見すると問題がなさそうな部門でした。
しかし、増加率としてみた場合には4月比で約120%と上昇が大きく、原因の追究が必要であるという状況を発見することが出来ます。

このように、ファンチャートにすることで、残業時間の大きさとは関係なく、各部の増減傾向が明確に読み取れます。
最初の一般的な時系列推移の折れ線グラフや積み上げグラフと使用しているデータ自体は同じですが、異なる視点での分析結果を得ることができます。

ヒストグラムでデータの偏り具合を可視化する

下のテーブル表は各月の残業時間を20時間ごとに分け、それぞれの区間に入る社員数を表したものです。
このように、データの値を等間隔の区間に分け、それぞれの区間に含まれるデータの数を計算したものを度数分布と呼びます。

 

 

そして、求められた度数分布の値を棒グラフであらわしたものをヒストグラムと呼び、ヒストグラムはデータの偏り具合を可視化する際に効果的なグラフです。
前項では、部門ごとに残業時間の平均値を求め、それぞれのグラフで比較しましたが、ここでは同じく就業データを使って、ヒストグラムを作成し、部門ごとに残業時間の偏り具合が可視化され、一部の社員に負荷が偏っていないかどうか、またその部門がどこなのかを発見する、という分析を行ってみましょう。

 

 

上のヒストグラムは、先程の度数分布を元に作成しています。
この例では、開発1部は、60時間未満の区間にデータが集中しており、特に負荷が集中している社員はいないようです。
一方、開発2部は、広い区間にデータが散らばっており、一部の社員に負荷が集中していることが見て取れます。
一部の社員に負荷が集中しているケースとしては、生活残業や特定業務の属人化、業務時間に対しての人材不足等、様々な要因が考えられます。
該当社員や部門管理者に対してヒアリングを実施し、残業マネジメントの見直しや、業務が標準化出来るようなツール導入や教育体制の導入、新規採用活動の活性化など、必要な対策をとることが望ましいといえるでしょう。

ウォーターフォールチャートでデータの増減の過程を可視化する

「ウォーターフォールチャート」とは、最初の値が最終の値になる過程でどのように増減するのかを把握することができるグラフで、グラフが滝(ウォーターフォール)のような形をしていることからウォーターフォールチャートと呼ばれます。
また、商品別や四半期ごとの売上構成といったように、最終の値(売上合計)がどのような構成になっているか表す際にもよく使われます。

書類選考応募(最初の値)から入社(最後の値)に至る過程の落選者、辞退者数を計算し、ウォーターフォールチャートで表示したものが次のグラフです。

 

 

ここから各段階における絞り込みや辞退者発生の傾向を把握しましょう。

このグラフを見てみると、
落選の割合:一次面接と二次面接がやや高い
辞退の割合:一次面接前と入社前が非常に高い
という傾向が見てとれます。

当初の入社数目標を達成できなかった場合や入社数を大きく上回ってしまった場合などは、次年度の新卒採用プロセスにむけた改善施策を考えることが出来るでしょう。
このような分析レポートを利用することで、面接の合格比率の調整を行うことも出来ますし、辞退者を減らすため取り組みをどの段階において重点的に行わなければならないかを明確にすることができます。
辞退者が多いフェーズについては、会社説明会から選考の間で発生しがちな志願者とのミスマッチをあらかじめ払拭出来るような情報提供・情報発信をしたり、面談後に採用担当とは関係ない社員との質問会を開催することで志願者の不安や認識のずれを解消したりするというのも有効な手段の一つでしょう。

まとめ

今回は「ファンチャート」「ヒストグラム」「ウォーターフォールチャート」を使った分析をご紹介しました。
一般的に使われるグラフはほとんどが棒グラフや折れ線グラフなどシンプルなものが多いかと思いますが、今回ご紹介したグラフも見方や考え方がわかれば、問題点の発見や施策の改善といったような気付きを与えてくれる非常に便利なグラフです。
今回の分析テクニックで何か参考になることがございましたら幸いです。

さて、昨年12月から「人事データを活用するための分析テクニック」として全9回にわたって開催させていただきましたがいかがだったでしょうか。
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