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第8回 100%積み上げ棒グラフによる分析

このコラムでは、業務効率化やワークスタイルの充実、福利厚生の充実、人員配置などに日々頭を悩ませている人事の方を対象に、人事データを活用するための分析テクニックをシリーズでご紹介しています。

それぞれのグラフの特徴や効果的な使用方法を理解しておくと、自分で報告資料を作る際や、部下に資料作成を依頼したり、修正のアドバイスをしたりするときにも役に立ちます。
第6回以降はそれぞれのグラフに着目して、各グラフの効果的な活用法についてご紹介いたしました。

第8回目の今回は、「100%積み上げ棒グラフ」による分析がテーマです。

 

100%積み上げ棒グラフによる分析とは

構成比を表すグラフとしては、よく円グラフやドーナツグラフが使われますが、「100%積み上げ棒グラフ」は文字通り、構成比を積み上げ棒グラフで表現したグラフです。
円グラフやドーナツグラフと異なる点は、異なる要素(例:それぞれの部門間、役職間、製品間など)の構成比を1つのグラフで可視化できるということです。
複数の要素間の構成比を比較し、特徴を発見したいといった場合にはもってこいですね。

今回は次の3つの分析テクニックをご紹介します。

 

ローパフォーマーの発生状況を分析する

ローパフォーマーに対して、パフォーマンスを改善する策の重要性が最近注目されていますが、そもそもの人事評価が公正に行われているという前提が必要です。
まずは、人事評価のデータから各部門において、ローパフォーマーがどの程度発生しているかの状況を定量的に把握し、評価が公正に行われているかどうかについて分析してみましょう。

使用したデータ:部門ごとの各社員の人事評価データ(4回分)

 

データの抽出例

 

次のグラフは、過去の人事評価の実績を遡って、部門ごとに各社員の低評価回数を集計し、該当社員数の比率を100%積み上げ棒グラフで表したものです。

 

低評価回数分布グラフ

 

この例では、全社および6つの本部について、過去4回の人事評価の実績に遡って、社員の低評価回数を集計し、100%積み上げ棒グラフで該当社員数比率を表示しています。

まずこのグラフから問題がありそうと思える部門は「営業本部」です。
物流本部、管理本部でも、3~4回低評価を受けた社員がいますが、営業部門では4回の人事評価で、3回ないし4回全て低評価だった社員の比率が50%近くに達しています。
このことから、ローパフォーマーが固定化されているとみることが出来ます。
実際に約半数の社員が固定的なローパフォーマーである可能もありますが、他の部門と比較した場合、比率を比較しても評価が公正さを欠いており、最近の業務遂行状況にかかわらず評価が行われる前から判断が下されている可能性があると判断できます。

逆に「開発本部」は4回の人事評価で、3回ないし4回全て低評価を受けた社員が一人もおらず、全ての社員が切磋琢磨している理想的な状況に見えます。しかし、こちらも他の部門と比較すると、あまりにも理想的に低評価が分散しており、持ち回り的に低評価者が選定されている懸念があり、直接的な調査が必要と思われます。

平均値を組み合わせて勤続年数のバランスを分析する

前項では、部門ごとの構成比を比較できるという100%積み上げ棒グラフの特徴を活かして分析を行いましたが、これに平均値を組み合わせることで、さらに効果的な分析を行える場合があります。

使用したデータ:部署別の勤続年数データ、平均勤続年数データ

ここでは、会社を構成する社員の勤続年数のバランスが取れているかどうかを分析してみましょう。
まず、勤続年数を区間 (例えば5年ごと)に分け、部門ごとに各区間に含まれる社員数を集計し、100%積み上げ棒グラフで表示します。
これだけでも各部門の勤続年数のバランスを可視化することができますが、部門ごとの特徴をより明確にしてみましょう。
先程のグラフを、平均勤続年数の長い順に部門を並べ替え、平均勤続年数の折れ線グラフを追加したものが次のグラフです。

 

 

一般的に、折れ線グラフで示される「平均勤続年数」が短い部門ほど、棒グラフで示される「勤続年数の構成比」において、短い区間(5年未満)が大きくなる傾向があります。
たしかにこの例でも、平均勤続年数がもっとも短い「営業本部」は、勤続年数5年未満の構成比がもっとも大きくなっています。

しかし、平均勤続年数がもっとも長い「管理本部」を見てみましょう。
本来小さくなるはずの勤続年数5年未満の構成比がかなり高くなっていることがわかります。
その原因が何か、棒グラフから探ってみましょう。
すると、15年以上20年未満を中心とした中堅層の割合が極めて低いためで、「管理本部」を構成する社員の勤続年数のバランスが偏っているという特徴が見えてきます。

このような現象は、過去の一定期間、新規採用活動が極端に低調であった場合にみられます。
こういった場合には、バランスを回復させるために、若手とベテランの間を埋める中堅社員の採用を積極的に行う、といった対応が求められるでしょう。

基準値を組み合わせて人事評価の途中経過を分析する

100%積み上げ棒グラフによる分析をより効果的にするもう一つの方法として、構成比の基準値を設定して、組み合わせる方法があります。

人事評価で行われるランク付けには相対評価が用いられ、ランクの比率も通常は基準が設けられています。
しかし、柔軟な評価を行うために微小なずれであれば評価者であるマネジャーの裁量にゆだねられているケースも多くみられます。
このような場合、課、ユニットといった最下層の評価単位での基準比率とのごくわずかかもしれません。
しかし、より上位の組織で集計されるにつれ、ずれが許容範囲を超えてしまい可能性が無いとも言えません。
そして最悪の場合、評価期間終了後に評価担当者に再調整を依頼するといった事態につながってしまします。

 

このようなリスクを減らすためには、評価ランクの比率と全体の中で何%が評価済みとなっているかを同時に見ることが大切です。
まず、評価が決定された部門のデータをリアルタイムで集計し、評価ランク比率を部門別に100%積み上げ棒グラフで表示し、あわせて評価決定率の線グラフを重ねます。
こうすることで、ある程度の割合で評価が定まった部門の評価ランクの比率が適切かどうかを点検することが出来ます。
もし基準と比べてずれが大きいようであれば、早めに再調整を依頼するといった対応が可能になります。

この例では、全社および6つの本部について評価ランク比率と評価決定率を計算し、100%積み上げ棒グラフと線グラフの複合グラフで表示しています。 また、評価ランク比率については右端に基準値として設定された比率を表示しています。

このグラフから問題があるとみられる部門は「生産本部」と「営業本部」です。
この2部門はSランクとAランクの合計の比率が4割に迫っており、基準比率の25%を大きく超えてしまっています。

「営業本部」は評価の決定率がまだ30%にすぎませんから、今後評価が進むにつれて、このずれが自然に解消される可能性はありますが、「生産本部」については、決定率がすでに70%に到達しており、すぐに再調整を行う必要があるといえます。

まとめ

今回は100%積上げ棒グラフの特徴と、効果的なシチュエーションについてご紹介いたしました。
100%積上げ棒グラフは、異なる要素の構成比を1つのグラフで可視化出来るという特徴がありました。
また、次のようなシチュエーションで使っていただくと効果的です。

 

  • ローパフォーマーの発生状況を分析する
  • →部門ごとの特徴を可視化して比較する

     

  • 平均値を組み合わせて勤続年数のバランスを分析する
  • →部門比較と平均値の組み合わせからどこに対する対策を強化すべきかを発見する

     

  • 基準値を組み合わせて人事評価の途中経過を分析する
  • →基準と照らし合わせ、「多過ぎ」「少な過ぎ」を予防する

 

特に、2、3番目にご紹介したような線グラフとの組み合わせは、円グラフやドーナツグラフでは分析しづらいものです。
今回の例を参考にしていただき、ご自身の業務に応用いただければ幸いです。

おまけ

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