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第7回 複合グラフによる分析

このコラムでは、業務効率化やワークスタイルの充実、福利厚生の充実、人員配置などに日々頭を悩ませている人事の方を対象に、人事データを活用するための分析テクニックをシリーズでご紹介しています。

それぞれのグラフの特徴や効果的な使用方法を理解しておくと、自分で報告資料を作る際や、部下に資料作成を依頼したり、修正のアドバイスをしたりするときにも役に立つ、ということで、第6回では散布図をご紹介しました。

第7回目の今回は、
「知っているのと、知らないのでは大違い!? ~複合グラフの効果的な使い方編~」です。

 

複合グラフの特徴

「複合グラフ」とは、異なる種類のグラフを組み合わせて作成するグラフで、ほとんどの場合、棒グラフと折れ線グラフの組み合わせが使われます。
「複合グラフ」は、規模が異なる値(千人規模と十人規模)や単位が異なる値(例:人数とパーセンテージ)を同時に表示することができるため、単一の種類のグラフよりも、より多くの情報を1つのグラフで可視化できるという特徴があります。

 

計画未達の原因を分析する

複合グラフを使うことで、計画と実績の乖離状況の変化だけではなく、変化の要因となる値の時系列推移も、一つのグラフの中に同時に可視化することができます。
つまり、計画の達成状況と、未達の場合は、その原因を1つのグラフから分析することが可能である、ということです。
それでは、経営計画の中でも重要なKPIの一つである社員数の計画達成状況を、複合グラフを使って分析してみましょう。

今回は、「有給消化率」「勤怠状況」「資格試験受講回数」のうち、どの要素が人事評価のランクに強い影響を与えているかを分析してみましょう。

 

    使用したデータ ※すべて月別で集計します

  • 社員数計画値
  • 社員数実績値
  • 採用者数
  • 退職者数

 

月ごとに社員数の計画値と実績値を線グラフ、採用者数と退職者数を棒グラフにした、複合グラフを時系列で表示すると、

・線グラフでは、社員数計画と実績の乖離状況の変化
・棒グラフでは、変化の要因となる各月の採用者数と退職者数

を一つのグラフとして可視化することができます。

 

 

この例では、6月末の段階で集計されたデータをもとに可視化しています。
4月は、採用が順調であったのと同時に、非常に多くの退職者が出たために、この時点で早くも計画と実績の乖離が発生しています。
5月は退職者が少なく抑えられたため乖離が小さくなりましたが、6月は再び退職者が増加しただけではなく、採用が低調になってきたため、乖離が再び拡がっています。
このままでは、計画の達成は危ぶまれるため、採用活動の活性化と並行して、退職者低減のための施策を検討する必要があります。

このように、まず、線グラフの方で乖離状況や乖離の増減、そして計画未達の場合は、棒グラフで乖離の原因を見る、という流れで利用していくとスムーズに分析することが出来ます。

 

計画達成の確度を分析する

先程は、計画値と実績値といったように、すでに確定した値同士を比較しましたが、つづいては、どのくらいの確度で計画が達成できそうかを予測するために、確定した実績値と未確定の予測値を比較します。

それでは、部門ごとの採用計画が、それぞれどの程度の確度で達成できそうかを、複合グラフを使って分析してみましょう。

 

    【使用したデータ ※すべて部門別の数値で集計をします】

  • 欠員数
  • 内定者数
  • 選考中の応募者数

 

欠員数を線グラフで、内定者と選考中の数を積み上げ棒グラフにすると、ここから、各部門の欠員が埋まりそうかどうかを一目で判断することができます。

 

 

この例では、生産、調達、営業の3本部は、内定者も出ており、選考中の数も残りの欠員数を上回っているため、欠員が埋まる可能性が高い状況です。
一方、物流、管理の2本部は、内定者が出ておらず、選考中の数も欠員数と同数でしかありませんので、このままでは、欠員が埋まらない可能性が高く、早急な対策が必要といえます。

単位が異なる値を組み合わせて分析する

最後に、異なる単位を持った数値を同時に見る場合の分析についてご紹介します。

たとえば、資格取得奨励制度の活用状況を分析する場合

 

  • 人数:取得希望者数、受験者数、合格者数
  • パーセンテージ:受験率、合格率

 

を同時に見ることで、状況をより的確に把握することができます。

それでは、複合グラフを使って取得奨励制度の活用状況を分析してみましょう。

 

    【使用したデータ ※すべて該当年度の各資格ごとの数値を集計します】

  • 資格取得希望者数
  • 受験者数
  • 合格者数

 

取得希望者数、受験者数及び合格者数を資格ごとに集計し、棒グラフで表示します。
あわせて受験率(受験者数÷取得希望者数)と合格率(合格者数÷受験者数)を線グラフで表現します。

 

 

この例では、6つの資格を対象とした資格別の取得状況を可視化するための複合グラフを作成しています。

「簿記二級」「基本情報技術者」は、取得希望者数が多いだけではなく、受験率と合格率の双方が高くなっており、資格奨励制度がうまく活用されているといえます

「宅地建物取引士」「販売士2級」については、高い合格率をあげているにもかかわらず、受験率が低いために合格者数が増えていないという状況です。

このような資格については、受験日を勤務扱いにする、eラーニング教材を会社から提供するといった受験率を上げるための施策を実施することで、合格者数も増加し、よりうまく制度が活用されるようになる可能性があります。

「FP2級」「中小企業診断士」については、合格率が極めて低くなっており、いわゆる難関資格といえます。
それにもかかわらず受験率が高いのは、これらの資格の取得希望者がスキルアップに対するモチベーションが高いと考えられますので、合格者数を増やす、合格率を高めるためにも、受験意欲を継続させるための施策が求められます。
この例でいえば、「FP2級」については難易度の低い「FP3級」も対象資格に加える、「中小企業診断士」については、1次試験のみの合格者についても、減額した手当を支給するといった施策が考えられます。

このように、棒グラフの方で、希望者や受験者といった母数を確認したうえで、受験率、合格率の乖離状況を見ることによって、合格者数(資格取得者数)を伸ばし、社員のスキルアップを応援する制度を検討することが出来るようになります。

 

まとめ

今回は、複合グラフの特徴と、使用するのに効果的なシチュエーションについてご紹介いたしました。
複合グラフは、多くの情報を一つのグラフで表現出来る、という特徴がありました。
また、

 

  • 計画の達成状況と、未達の原因を同時に分析する
  • 計画の達成状況と、達成確度を同時に分析する
  • 異なる単位のものを同時に比較する

 

といったシチュエーションで使用していただくと、効果的に使っていただけます。

何か今後、資料を作る際の参考にしていただければ幸いです。

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