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第5回 資格取得状況の分析

このコラムでは、業務効率化やワークスタイルの充実、福利厚生の充実、人員配置などに日々頭を悩ませている人事の方を対象に、人事データを活用するための分析テクニックをシリーズでご紹介しています。

 

第5回の今回は資格取得状況の分析がテーマです。


資格取得状況の分析とは

社員のスキルアップを目的として、資格取得を奨励し、受験費用の補助や、資格手当の給付を行うという、資格奨励制度が多くの企業で実施されています。

しかし、制度を実施しても、利用者が少ない、あるいは見込んでいたほどの合格者数に達していない、といったことも往々にして発生するでしょう。
また、受験者のリスト作成や合否の結果の記録といった管理を行ってはいても、制度がうまく活用されているかどうかを検証するところまでは目が行き届いていないということもあるでしょう。

今回のコラムでは、そういった方々のために、受験率、受験者数、合格率といった指標を基に、資格ごとの制度活用状況について簡単に分析を行えるテクニックをご案内します。

今回ご紹介するテクニックは2つです。

 

  • 資格別取得状況複合グラフ
  • 部門別受験率 × スコア散布図

資格別取得状況複合グラフ

一般的に資格奨励制度では、次のような流れになっています。

 

 

制度が効果的に活用されているかを検証するために、こうしたプロセスの過程で発生するデータを集計、分析していきます。

受験の準備に要する労力、試験の実施頻度や合格の難易度は。それぞれの資格によって千差万別ですので、制度の活用状況は資格ごとに見なくてはなりません。
そこでお勧めするのが次のような複合グラフです。

 

 

こちらのグラフでは、6つの資格を対象とした資格別の取得状況を可視化するため、
取得希望者数、受験者数、合格者数を資格ごとに集計した棒グラフで、
受験率(受験者数÷取得希望者数)、合格率(合格者数÷受験者数)を線グラフで表現しています。

まず、左2つの「簿記二級」と「基本情報技術者」は取得希望者の数が多いだけでなく、受験率と合格率がともに高くなっており、資格奨励制度がうまく活用されているといえそうです。

次に、真ん中の「宅地建物取引士」と「販売士2級」については、高い合格率をあげているにもかかわらず、受験率が低いために合格者数が増えていないという状況です。
このような資格については、受験日を勤務扱いにする、eラーニング教材を会社から提供するといった受験率を上げるための施策を実施することで、よりうまく活用されるようになる可能性があります。

最後に、「FP2級」と「中小企業診断士」については、合格率が極めて低くなっています。いわゆる難関資格です。
それにもかかわらず受験率が高いのは、これらの資格の取得希望者がスキルアップに対するモチベーションが高いことを示しており、受験意欲を継続させるための施策が求められます。
この例でいえば、「FP2級」については難易度の低い「FP3級」も対象資格に加える、「中小企業診断士」については、1次試験のみの合格者についても、減額した手当を支給するといった施策が考えられます。

部門別受験率xスコア散布図

語学に代表される汎用的なスキルを対象とした資格試験には、試験結果が合否ではなくスコア(スキルレベルをあらわす点数)で示されるケースがあります。
例えば、TOEICの場合は、多くの企業で全社員向けに受験が奨励されていますが、受験状況と試験結果の分析には、一般の資格とは異なる難しさがあります。

一般の資格が一部の取得希望者のみを奨励の対象とするのは異なり、全社員が奨励の対象となる場合、受験率の集計は部門別など、別の単位での集計が必要な場合もあります。
また、受験結果が合否ではなくスコアで示されるため、一般の資格のように合格率を目安にすることもできません。

このような場合は、下記のように部門別に受験率と受験者の平均スコアを集計し、散布図で可視化すること方法をおすすめします。

 

 

この例では、全社および6つの本部について、受験率と受験者の平均スコアを集計し、表示しています。
こうすることで全社だけでなく、全体的な状況を把握することができるようになります。

このグラフからわかるもっとも問題がある部門は「物流本部」です。この部門は受験率と受験者平均スコアの双方が全社の値を大きく下回っており、奨励制度に対する意識付けがうまくいっていないことがわかります。
このような部門については、オフィスでの受験を可能にする団体特別受験制度を導入した上で、受験を義務付けるなどの思い切った対策が必要となります。

「管理本部」は受験者平均スコアが高いにもかかわらず、受験率が低い値に留まっています。スキルに自信のある一部の社員だけが受験しただけで、部門としての奨励制度に対する意識付けがうまくいっていない可能性がありますので、「物流本部」と同様の対策が望まれます。

「営業本部」は受験者平均スコアが低いことは問題ですが、受験率が高いことは奨励制度への意識付けがうまくいっていることを示しています。このような部門については、継続的なスキルアップへのモチベーションを維持させることが重要となりますので、eラーニングなどの手軽に受講できる教材を会社で準備した上で、優先的に提供するなどの施策が効果的と思われます。

さて、この「人事データを活用するための分析テクニック」のコラム連載では、

 
  • 第1回 残業時間の分析
  • 第2回 採用活動の分析
  • 第3回 勤続年数と退職者の分析
  • 第4回 人事評価の分析
  • 第5回 資格取得状況の分析
  •  

の全5回をご紹介してきました。
この中で様々なテクニックをご紹介してきましたが、一方で、Excelや社内システム、データベースなど、異なるものからデータを集めて、分析に必要なレポートに加工するというのはなかなかに大きな労力です。
それも毎週、毎月、など前年比も踏まえて定期的に分析するとなるとハードルはさらにあがってくるでしょう。

株式会社サムライズでは、そういった「データをもっと活用したい!」「レポート作成のための集計や管理の負担を少なくして業務効率をアップさせたい!」という方々の声にお応えするために、分析のために必要なデータ統合、加工、分析、可視化をオールインワンで提供するクラウド型BIツール「GoodData」をご提供しています。

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