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第2回 採用活動の分析

このコラムでは、業務効率化やワークスタイルの充実、福利厚生の充実、人員配置などに日々頭を悩ませている人事の方を対象に、人事データを活用するための分析テクニックをシリーズでご紹介しています。

 

第2回の今回は採用活動分析がテーマです。

 

採用活動分析とは

労働力人口の減少とともに、採用活動はまさに企業の生命線ともいえる業務になってきました。
一方で、前回の残業時間のデータ同様、採用活動においてもそのデータが十分活用されているとはいえません。

 

たとえば、「新卒採用において最初の書類選考応募者のうち、何名が入社に至ったか?」といったことは皆さまの多くが把握されていることでしょう。

 

しかし、「その過程において、どのように絞り込みが行われ、どのタイミングで辞退者が多く出ているか」を可視化し、分析を行っている企業はあまり多くないようです。

 

今回皆さまにもっと採用活動のデータを活用し、業務に役立てもらおうということでご紹介するのが、こちらの3つのテクニックです。

 

  1. 新卒採用ウォーターフォールチャート(※1)
  2. 部門別中途採用状況分析
  3. 社員数計画達成状況時系列分析

 

用語解説

 

(※1)ウォーターフォールチャート
「ウォーターフォールチャート」とは、最初の値 (たとえば、書類選考応募者の数) が、最終の値(例えば入社者の数)になる過程で、一連の正の値または負の値によって、どのように増減するのかを把握することができるグラフです。
グラフが滝(ウォーターフォール)のような形をしていることからウォーターフォールチャートと呼ばれています。

 

「ウォーターフォールチャート?作ったことないし見方もよくわからない…」という人も、「見たことはあるけど、自分の仕事にどう活かしたらいいんだろう?」という人も、ぜひこの機会に覚えて、今後の業務にお役立ていただければ幸いです。

新卒採用ウォーターフォールチャート

書類選考応募から入社に至る過程の落選者、辞退者数を計算し、ウォーターフォールチャートで表示します。
ウォーターフォールチャートにすることで、各段階における絞り込みや辞退者発生の傾向を明確にすることができます。

 

 

この例では、書類審査から一次、二次、最終面接、内定を経て入社に至る過程での落選者と辞退者の数をもとにウォーターフォールチャートを作成しています。

 

このグラフを見てみると、
落選の割合:一次面接と二次面接がやや高い
辞退の割合:一次面接前と入社前が非常に高い

という傾向が見てとれます。

 

これにより、次年度の新卒採用プロセスにむけて、面接の合格比率の調整や、辞退者を減らすための取り組みをどの段階において重点的に行わなければならないかを明確にすることができます。

部門別中途採用状況分析

部門別の欠員数、内定者数、選考中の数を計算し、複合グラフで表示します。欠員数を線グラフで、内定者と選考中の数を積み上げ棒グラフにすることで、各部門の欠員が埋まりそうかどうかを一目で判断することができます。

 

 

この例では、グラフから次のような予想を立てることが出来ます。

 

生産・調達・営業:内定者も出ており、選考中の数も残りの欠員数を上回っている。
→欠員が埋まる可能性が高い

 

物流・管理:内定者が出ておらず、選考中の数も欠員数と同数。
→このままでは欠員が埋まらない可能性が高く、追加募集をするなど早急な対策が必要

社員数計画達成状況時系列分析

新卒や中途採用の個別の状況だけではなく、経営計画の中でも重要なKPIの一つである社員数の計画達成状況については、頻繁に確認する必要があります。
月ごとに社員数の計画値と実績値、採用者数と退職者数を計算し、複合グラフで時系列に表示します。
社員数の計画値と実績値を線グラフで、採用者数と退職者数を棒グラフにすることで、社員数計画と実績の乖離状況の変化を把握し、変化の要因となる各月の採用者数と退職者数を一つのグラフとして可視化することができます。

 

 

この例では、6月末の段階で集計されたデータをもとに可視化しています。
4月は、採用が順調であったのと同時に、非常に多くの退職者が出たために、この時点で早くも計画と実績の乖離が発生しています。
5月は退職者が少なく抑えられたため乖離が小さくなりましたが、6月は再び退職者が増加しただけではなく、採用が低調になってきたため、乖離が再び拡がっています。
このままでは、計画の達成は危ぶまれるため、採用活動の活性化と並行して、退職者低減のための施策を検討する必要があります。


さて、今回は3つのグラフを用いて1つのグラフから複数の要素を読み解く方法をご紹介させていただきました。

 

構成を表すグラフとしてはよく円グラフやドーナツグラフが使われますが、今回ご紹介したウォーターフォールチャートを使用することで、項目ごとの構成・増減を同時に把握することが可能になります。
今回は採用活動における活用事例をご紹介しましたが、「前年と今年の商品別/部門別売上」や「収益・損益」の状況など、他の分野でも定期レポートやプレゼンテーションなどに使用することで、聞き手への納得感を高める有効なツールとなるでしょう。
また、複合グラフでは「現在と目標との乖離」と「項目の要素」を同時に見ることにより、今後どういった対策が必要か、どういった施策を行っていくべきかを検討する上での気づきを与えてくれます。

 

組織を継続させる上でかなめとなる「人」と向き合う採用活動でも、データと向き合って有効活用していただければ幸いです。

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