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第4回 人事評価の分析

このコラムでは、業務効率化やワークスタイルの充実、福利厚生の充実、人員配置などに日々頭を悩ませている人事の方を対象に、人事データを活用するための分析テクニックをシリーズでご紹介しています。

 

第4回の今回は人事評価の分析がテーマです。


人事評価と給与の分析とは

人事評価は、離職防止や従業員のモチベーションを考える上でもっとも重要な要素の1つといえます。
人事評価後にローパフォーマー(低評価を受けた従業員)やハイパフォーマー(高評価を受けた従業員)のリストを作成することそれ自体は、今後の採用や人事評価、人材育成の観点から必要なことですが、リストの作成だけでは測れないこともあります。

 

第4回のコラムでは、

 

  1. 基準と照らし合わせることで人事評価の再調整を防ぐ分析術
  2. 過去の人事評価に遡って、評価が公正に行われているかを検証する分析術

についてご紹介いたします。

 

それぞれ使用する分析テクニックは次の2つです

 

  • 評価ランク比率×評価決定率グラフ
  • 低評価回数分布グラフ

 

これらのテクニックを活用することで、人事評価の際に発生しうる非効率な時間を削減し、従業員に納得感のある公正な評価が出来ているかを判断することが出来ます。

評価ランク比率×評価決定率グラフ

人事評価で行われるランク付けには相対評価が用いられ、ランクの比率も通常は基準が設けられています。
しかし、柔軟な評価を行うために微小なずれであれば評価者であるマネジャーの裁量にゆだねられているケースも多くみられます。
このような場合、課、ユニットといった最下層の評価単位での基準比率とのずれは微小であっても、より上位の組織で集計されるにつれ、ずれが許容範囲を超えてしまい、評価期間終了後に評価担当者に再調整を依頼するといった最悪の事態を招く恐れがあります。

このようなリスクを減らすために行うのが、「評価ランク比率×評価決定率グラフ」をもちいた分析です。
まず、評価が決定された部門のデータをリアルタイムで集計し、評価ランク比率を部門別に100%積み上げ棒グラフで表示し、あわせて評価決定率の線グラフを重ねます。
こうすることで、ある程度の割合で評価が定まった部門の評価ランクの比率が適切かどうかを点検することが出来ます。
もし基準と比べてずれが大きいようであれば、早めに再調整を依頼するといった対応が可能になります。

 

 

この例では、全社および6つの本部について評価ランク比率と評価決定率を計算し、100%積み上げ棒グラフと線グラフの複合グラフで表示しています。
また、評価ランク比率については右端で「基準」として設定された比率を表示しています。

このグラフからわかる問題がある部門は「生産本部」と「営業本部」です。
この2部門はSランクとAランクの合計の比率が4割に迫っており、基準比率の25%を大きく超えてしまっています。
「営業本部」は評価の決定率がまだ30%程度なので、今後評価が進むにつれてこのずれが自然に解消される可能性はあります。
一方、「生産本部」については、決定率がすでに70%に到達しており、すぐに再調整を行う必要があるといえます。

低評価回数分布グラフ

ローパフォーマーに対するパフォーマンス改善策の重要性が最近注目されていますが、そもそも人事評価が公正に行われていることが前提で、まずは人事評価のデータから各部門におけるローパフォーマー発生状況を定量的に分析することが重要です。

評価が公正に行われているかの検証については、過去の人事評価の実績に遡って、部門ごとに各社員の低評価回数を集計し、100%積み上げ棒グラフで該当社員数比率を表示する方法があります。

 

 

この例では、全社および6つの本部について、過去4回の人事評価の実績に遡って、社員の低評価回数を集計し、100%積み上げ棒グラフで該当社員数比率を表示しています。

このグラフからわかる問題がある部門は「営業本部」です。
この部門は4回の人事評価で、3回ないし4回全て低評価を受けた社員の比率が50%近くに達しており、ローパフォーマーが完全に固定化されていることがわかります。
実際に約半数の社員が固定的なローパフォーマーである可能もありますが、他の部門と比較した場合、評価が公正さを欠いており、最近の業務遂行状況にかかわらず評価が行われる前から判断が下されている可能性の方が強いといえます。

逆に「開発本部」は4回の人事評価で、3回ないし4回全て低評価を受けた社員が一人もおらず、全ての社員が切磋琢磨している理想的な状況に見えます。
しかし、こちらも他の部門と比較すると、あまりにも理想的に低評価が分散しており、持ち回り的に低評価者が選定されている懸念があり、直接的な調査が必要と思われます。

今回は、基準と照らし合わせた時の各部署の評定のズレと調整対応の緊急度を知る手段として「評価ランク比率×評価決定率グラフ」を、評価が公正に行われているかどうかの判断材料として「低評価回数分布グラフ」をご紹介しました。

人事評価は昇進や報酬にも関わり、従業員のモチベーションに大きな営業を与える一方、評価基準が曖昧だったり、公正な評価がなされていなかったりすると、従業員の不満につながります。
また、人事評価は単に評価をするためのものではなく、個人の能力や適性に応じた場所へと導くためのものでもあり、従業員の成長のためのものでもあります。

理想的には従業員一人一人に十分な時間を取って、適切な評価がなされているかを検証したいところですが、実際には、時間は有限であり、慎重な中にも効率良く業務を行っていく必要があります。
様々な課題があるなか、優先的に取り組むべき課題がどこかをいち早く見つけてもらう上で、こうした手法をご活用いただければと思います。

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