導入事例
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サッカーファンの人気サイト「nakata.net」を運営 |
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彼方株式会社(以下、彼方)は、1995年7月にサービスを開始したWebマガジン「teleparc(テレパーク)」の制作・運営を行っていたテレパーク編集部が、運営主体(富士通株式会社)の富士通からスピンアウトし、2001年に設立した企業です。若い企業でありながら、スタッフは日本のインターネット黎明期から活動を続けています。メンバーは、テクノロジー、マーケティング、クリエイティブの3つの分野のスペシャリストによって構成され、現在ではアライアンスパートナーのサイト企画・運営だけでなく、コンテンツマネジメントに関するコンサルティングやCMSパッケージの開発も手がけています。 彼方は、サッカー日本代表のMF中田英寿選手の公式Webサイト「nakata.net」を運営しています。1998年のフランス・ワールドカップ開催と同年に公開されたnakata.netは、中田選手のファンはもちろん、多くのサッカーファンからの人気を博し、最大で1日に3000万ヒットを記録するまでのサイトに成長しました。 Nakata.netがスタートした経緯について、彼方株式会社 シニアプロデューサー 金子明敏氏は「中田選手は、自分の発言がマスコミを通すと正確にファンに伝わらないことを常に残念に思っていました。そして、“自分の考えを自分の言葉でファンに伝えたい”という想いを実現する場としてWebサイトを選びました。この中田選手の想いと我々の提案が一致し、nakata.netがスタートすることになったのです」と当時の過程を説明します。 |
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Webtrendsを「nakata.net」の企画・運用に活用 |
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2004年現在ですでに6年を経たnakta.netは、1日で平均80万PV、月間で約2000万PVの人気サイトに成長し、これまでファンから届いたメール総数は約100万通を超えるといいます。 中田選手とファンをつなぐ重要な役割を果たすnakata.netを運営するためには、中田選手本人と彼の所属事務所、運用を行う彼方の3者間で円滑に情報交換を行う場が必要となります。そこで彼方は、3者がコミュニケーションを行うためのエクストラネット(関係者間の情報共有を目的としたサイト)を構築し、サイトの運営に必要な情報の閲覧と議論ができる環境を用意しました。このエクストラネットで、新企画の打ち合わせやデザインのレビューのほかに、重要な情報として扱われているのがWebtrendsによって収集されたサイトのログ解析情報です。 「Webtrendsによるログ解析情報は、中田選手も含めた3者が常に最新のレポートをWebブラウザで閲覧することができます。エクストラネットでは、ログレポートを参照しての意見交換や改善の議論が行われています」(金子氏) 現在使用しているnaksts.netの運用に使用しているバージョンは、Webtrends Reporting Center 5.0です。彼方は、nakata.netの企画・運用において、Webtrendsをサーバ運用とコンテンツ企画、ユーザー動向の把握の3つの側面から活用しています。 |
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3000万ヒットのアクセスにも耐える安定した運用を実現 |
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彼方では、運用面では、アクセスの急激かつ大幅な増加にも落ちることがない安定したWebサイトを常時運用し続けるためにWebtrendsを活用しています。 「例えば、2000年1月に中田選手がペルージャからローマに移籍したことがありました。このときの1日に総アクセス数は2500万ヒットを記録しました。さらに、2002年のワールドカップ時には1日に3000万ヒットを記録しました」(金子氏) このようにnakata.netはアクセス数の増減が激しいため、サーバ増強のタイミングをうまく見計らう必要があります。例えば、新聞報道やTV出演でもアクセスが急増するため、過去の増減の傾向を掴むことで、事前の対策を講じる必要があるのです。 また、多くのユーザーが閲覧するサイトであるだけにサイトのメンテナンスのタイミングも重要となります。日本語、中国語、韓国語、英語の4ヶ国語で発信されているnakata.netは、メンテナンスのタイミングを各国の時差を考慮して行わなければなりません。そこでWebtrendsで「時間ごとの訪問回数」や「曜日ごとの訪問回数」のデータを参考にし、試合日程などのスケジュールも加味しながら、メンテナンスの時間帯の決定に役立てています。 |
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コンテンツ企画にWebtrendsを活用< |
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彼方は、コンテンツ企画にもWebtrendsを活用してきました。コンテンツの人気度を測るため、Webtrendsのフィルター機能を使い、主要コンテンツ毎のログ解析を常時行っています。「参照URLごとの活動」「時間ごとの訪問回数」「検索エンジン」などから、それぞれのコンテンツ=ユーザー層のふるまいを分析します。 例えば、nakata.netのコンテンツの1つ「Hide's Games」は、中田選手の試合スケジュールが分るコンテンツです。「このページを中田選手のファンだけでなく、サッカーのファンであるユーザーが多く参照しているのであれば、日本国内での開催日程や各国チームのページの充実を図る。中田に関連以外のコンテンツも増やす。欧州のサッカー情報を充実させるといいった方向性が見出せる訳です」と金子氏は説明します。 同様の手法は、2002年に日本・韓国で開催されたワールドカップ時にも活かされました。中田選手自身がプロデュースしたカフェ『nakata.net cafe』が東京国際フォーラム内に期間限定でオープンした。「店舗自体とアクセス数は関係ありませんが、これに連動したコンテンツをnakata.netに企画しました。焦点を試合スケジュールに置いた方がよいのか、中田選手個人にフィーチャーした方がよいのかを探るため、Webtrendsによるログとアンケートを使って把握しました」(金子氏)。 |
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ユーザーの経路分析をナビゲーションの改善に活用 |
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また、Webtrendsで把握できるユーザーの経路は、ユーザーをサイト内の目的へ円滑に誘導するための検証に使用されています。過去の活用実例を挙げると、nakata.netのサイト目的のひとつ「club.nakata.net(有料会員制サイト)への誘導状況の把握と改善を図るために使われました。当初、clubnakata.netの入会方法がわからないという声が多かったため、ユーザーが入会のための経路をうまくたどれているか否かを調べたのです。nakata.netからclub.nakata.netへの誘導状況をページ毎の滞在時間や経路を分析することで、入会フローの問題点を発見し、改善を行うことに成功しました。 「nakata.net内でclub.nakata.netを新コンテンツとして紹介したのですが、ログレポートをチェックすると入会手続きの過程の特定ページからユーザーが先に行っていなことが判明したのです。そこで、入会手続きの説明内容や誘導部分のデザインを改善したところ、告知ページからのアクセスが増えたことを確認できました」(金子氏)。具体的には、各プロバイダーからclub.nakata.net入会案内への誘導状況を「参照URL」でチェックし、「最後に訪れたページ」で出口ページを知り、フローやナビゲーションを改善しました。 |
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nakata.netとWebtrends活用の今後の展開 |
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nakata.netの今後のコンテンツ展開について、金子氏は「広帯域のネットワークが実現したことで、大きなデータも気軽にWebで扱えるようになりました。動画やFlashコンテンツを充実させ、よりサイトの充実を図りたいと考えています」と語ります。Flashでは、Flashならではのインターフェイスや、スピード感ある画像の表示など、表現力を生かしたコンテンツを作り上げることができます。しかし、その反面、Flashコンテンツ上でのユーザーの挙動の把握は難しくなります。Flashコンテンツはユーザーのクライアント上で実行されるため、通常の方法ではFlashがサーバと通信を行うタイミングでしかユーザーの挙動をログに取得することができません。しかし、WebtrendsであればFlash上のユーザーのマウス操作をJavaScriptによって捕捉し、ログデータに収集することを可能としています。Flashに関するログ解析について金子氏は「画像やテキストの表示件数をログとして収集し、Flashコンテンツの有効性を測る指標にしたいと考えています」と期待を語ります。 さらに、まだ効果測定を行っていないメールマガジンについては、HTMLメール化することによってWebtrendsによる解析を可能にし、開封率を計測することで、ユーザー属性ごとにキャンペーンの効果測定を行う予定です。 今後のサイトの運営・管理のビジョンとして、金子氏はログ解析とコンテンツ管理は不可分であると説明します。「企画・設計、構築、運営・評価というサイクルを続けることで、活きたサイト運営が実現できると考えています。ALAYA(アラヤ)という自社開発のコンテンツマネジメントシステムとWebtrendsを組み合わせ、成長し続けるサイトのサイクルを確立したいと考えています」(金子氏)。 |
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