GoodData HOME > コラム > ECデータを活用するための分析テクニック > 第7回「eマーケティング分析」

第7回 eマーケティング分析

この連載コラムでは、ECを運営する企業が、ECシステムに蓄積されたデータを活用するための分析テクニックを全7回にわたって解説します。

第7回の今回は、マーケティング活動に対する顧客の反応を分析し、活動の効果を検証するeマーケティング分析について解説します。

eマーケティング分析のデータモデル

eマーケティング分析は、マーケティング活動の効果を検証するため、キャンペーンや特定のサービスに対する顧客の反応を捉えることを目的とした分析になります。キャンペーンでは主に特定顧客セグメントに対するクロスセル、アップセルを狙う場合が多く、ナレッジ分析がPULL型のアンケートだとすれば、eマーケティング分析はPUSH型のアンケートとも捉えることができます。また、会員に限ったサイト内のマーケティング活動だけでなく、外部サイトを使った販売拡大、会員数増大などのキャンペーンを打つことも想定されます。

次の図はeマーケティング分析のデータモデルの一例です。このデータモデルを使用して、eマーケティング分析の例として、一般的なキャンペーン分析とサイト外部向けキャンペーン分析を行なってみましょう。


eマーケティング分析のデータモデル

一般的なキャンペーン分析

第2回「ECデータ活用の流れと分析手法」で紹介した「冬にもビールを売ろう!」というリカーショップの試みは、このeマーケティング分析を実施したものです。
第2回「ECデータ活用の流れと分析手法」では、ターゲットとした顧客と実際に冬に外国産ビールを購入した顧客の2つのセグメントについて属性を分析し、傾向を探ってみました。

しかし、そこにとどまらず、実際に購入には至らなかった顧客に対しても分析を行なって、適切なフォローを考えるべきでしょう。今回はこのキャンペーンの対象ではあったものの購入に至らなかった顧客、というセグメントに焦点を当てて分析してみることにします。

まず最初に、「冬にもビールを売ろう!」キャンペーンでターゲットとなった顧客をもう一度見てみます。

外国産ビールを購入してくれそうな顧客として期待を寄せたグループを特定した結果、30代、40代の男性が圧倒的に多いことが分かりました。そしてキャンペーン実施後、実際に購入した顧客セグメントを分析してみると、やはり30代、40代の男性が多かったものの、30代女性も予想以上に大きなシェアを持っていたことが分かりました。

一般的なキャンペーン分析 (1)


第2回「ECデータ活用の流れと分析手法」では30代女性という新たなターゲットの出現に対してキャンペーンの継続を考えたところで終わりましたが、ターゲットにならなかった20代、50代の男性について今回は考えてみましょう

まず、外国産ビールのキャンペーン期間であった2020年冬季、20代、50代の男性はどんな商品を購入したのでしょう。商品別に実績を分析してみると下のような結果になりました。もともと20代の会員数は構成比率からして少なく、図からも分かるとおり50代と比較して全体的に実績が低めです。
リカーショップではその理由として、20代は自宅外でお酒を飲む機会が多いためと考えています。冬の外国産ビールセールのキャンペーンにも、実際目立った反応はなかったことがこの結果からも分かります。


一般的なキャンペーン分析 (2)


では50代男性はどうでしょうか。すぐに分かる特徴としては、発泡酒が国産ビールを抜く人気であることです。50代男性の興味は外国産ビールではなく、発泡酒に多く向いています。そのため、外国産ビールのキャンペーンに対しては反応が鈍かったという推測ができます。

この結果から、外国産ビールのセールスキャンペーンの対象としては20代、50代の男性は適当ではなく、このセグメントに対しては別のマーケティング方法を考える必要があることがはっきりと分かりました。

サイト外部向けキャンペーン分析

eマーケティング分析の例として、もう1つ、サイト外部に向けて行なうキャンペーンの事例を紹介しましょう。

第3回「顧客分析」の静的プロファイルを使った分析のところであったように、リカーショップのサイトでは最近女性会員が増えつつあることが分かっています。とはいえ、まだまだ比率としては少なく、今後女性会員を順調に増やすことができれば、会員数増大の大きなチャンスとなるだろうとサイトでは考えているとしましょう。


サイト外部向けキャンペーン分析 (1)


そこで女性会員を増やすための施策として、女性利用客が圧倒的に多い通販化粧品サイトにバナー広告を出し、集客を図る企画をしました。バナー広告には、会員登録した顧客に限って女性会員に人気のお酒をキャンペーン価格で提供する、という内容を掲載することにしました。

キャンペーンの準備として、まず最初に女性会員に人気のお酒は何か、つまりキャンペーンの対象としてどんな商品が適切であるかを分析してみます。ここでは売上実績よりも、どういうカテゴリに興味があるかということを把握するほうが有効であると考えられるため、クリック分析における人気ランキングを見てみることにします。

次の図は女性会員の2020年度クリック商品ランキングになります。傾向として、口当たりの良い発泡系のお酒が多いことが分かります。また、それとは別に芋焼酎、赤ワインといった、しっかりとした飲み口のお酒も人気のようです。そこでサイトでは、比較的価格帯の高い芋焼酎、赤ワイン、それと目新しいところで発泡日本酒から、それぞれいくつかの銘柄を選定してキャンペーン対象の商品とすることにしました。


女性会員のクリック商品ランキング


次に、バナー広告をクリックして飛んできた先のキャンペーン案内ページに会員登録機能を付けます。こうすることで、このキャンペーンを見て会員登録した人を、ほかの理由から会員登録した人とは分けて把握することが可能になります。これは、より正確なキャンペーン効果を検証するために必要な対応となります。

こうした準備を経て2021年4月から3カ月間、通販化粧品サイトにバナー広告を出すことで実施した女性会員集客を図るキャンペーンの結果が下の図になります。


サイト外部向けキャンペーン分析 (2)


これを見ると、キャンペーン期間中である2021年4月から3カ月間に登録した会員のうち、約半数が通販化粧品サイトからの顧客であることが分かります。この顧客のほとんどが女性であれば、これまでの男女比とはまったく異なり、サイトの期待通り新規会員の約半分を女性が占めていることになります。

そこで、キャンペーン期間中の男女別登録会員数を見てみましょう。結果としては、キャンペーンで登録した会員のほとんどが女性だったことが分かります。この結果を見る限り、女性会員を増やすための外部サイトからの集客キャンペーンは成功したと言えるでしょう。


サイト外部向けキャンペーン分析 (3)


eマーケティング分析はここでは終わりません。さらにこの先、このキャンペーンで入会した会員がその後どんな商品を買うかを追跡調査するなど、新たなキャンペーンの企画へとつなげていけるでしょう。


 

本Webサイトではこの他にも様々なデータ活用のテクニックをご紹介しています。ぜひご覧ください!


 

 

分析レポート・帳票作成の効率化、部門や会社、グループを超えた大規模なレポート共有にお悩みはありませんか?

 

 

 

InsightNavi案件管理資料請求・お問い合せ

ECデータを活用するための分析テクニック

PAGE TOP