JRun インストールのカスタマイズ

次に示すいくつかの方法で、JRun のコンパイルおよびインストールをカスタマイズしたり、独自の Web アプリケーションをカスタマイズすることができます。

JRun でユーザ設定をカスタマイズする別の方法については、"JRun の組み込み"を参照してください。

makefile のカスタマイズ

Windows と UNIX のどちらで JRun インストーラをコンパイルする場合も、顧客に提供するインストール実行パッケージ (インストーラ) は makefile を使用して生成されます。このインストーラでは、カスタム アプリケーションを含めたり、JRun の不要なコンポーネント (JSP サポート、文書、デモ アプリケーションなど) を除外することができます。

makefile によって、/dist ツリーからインストーラにファイルが組み込まれます。UNIX の場合、makefile は mk-sh-installer を使用してインストーラをコンパイルします。Windows の場合、makefile は InstallShield を呼び出して最終的な実行可能モジュールをコンパイルします。いずれの場合も、インストールの構築に使用するファイル ソースは /dist ツリーです。/dist ツリーの内容については、 ページを参照してください。

makefile は次の make コマンドを使用して呼び出されます。

% make

メモ

Windows ベースのシステムで make コマンドを使用するには、CYGNUS の Cygwin などの UNIX シェル エミュレータを使用する必要があります。CYGNUS の Cygwin は http://www.cygnus.com からダウンロードできます。


makefile をカスタマイズする場合、Web アプリケーションの追加と削除 ("Web アプリケーションのカスタマイズ"を参照) や、JRun の主要コンポーネント (EJB/JMS サポートなど) のカスタマイズ ("JRun コンポーネントのカスタマイズ"を参照) などの作業を通常行います。また、makefile にコンポーネント、アプリケーション、その他のファイルを追加したり、削除する場合には、インストール スクリプト (UNIX) および InstallShield ファイル (Windows) の更新が必要になることもあります。

UNIX JRun インストーラの構築

UNIX OEM リソースでは、サポートされているすべての UNIX プラットフォームに対して 1 つのインストール スクリプトを使用します。

クイック スタート

このセクションの手順に従って、まったく変更を加えずに UNIX JRun インストーラを構築します。以降のセクションでは、Web アプリケーションやコンポーネントの追加と削除を行ったり、インストール自体を変更できるように JRun をカスタマイズする方法について説明します。

UNIX JRun インストーラを構築するには

  1. ディレクトリに jrun-31-unix-oem-us.tgz を解凍します。次に例を示します。
    % mkdir jrun-kit 
    % gunzip <jrun-31-unix-oem-us.tgz | (cd jrun-kit; tar xf -)
    
  2. make コマンドを実行します。次に例を示します。
    % cd jrun-kit/dist 
    % make -i jrun-31-unix-us.sh
    

構築プロセスについて

makefile は、要求された JAR ファイル、WAR ファイル、ライブラリ、および /dist ツリー内のプロパティ ファイルを検証します。次に mk-sh-installer を呼び出し、sh-install および残りのコンポーネントをスクリプト ファイルに挿入して、インストール ファイルを構築します。次の図はこのプロセスを示しています。

ユーザが jrun-31-unix-us.sh ファイルを実行して JRun をインストールすると、sh-install は最初のプロンプトを表示し、続いてすべての JRun ファイルをユーザのディスクにコピーします。sh-install は制御を /bin/install に渡し、JRun サーバ、EJB エンジン、JVM 設定などの残りのユーザ プロンプトでインストールおよび設定を完了します。

次の表は、ファイルごとのユーザ プロンプトの一覧です。この一覧を参考にして、さまざまなインストーラ プロンプトの検索、独自のプロンプトの追加、不要なプロンプトの削除、および既存のプロンプトの変更を迅速に行うことができます。
ファイル
ユーザ プロンプト
/installers/sh-install
ライセンス契約の承認
JRun インストール ディレクトリ
インストールのタイプ (標準/カスタム)
およびインストールするコンポーネント
/dist/core-unix/bin/install
JRE または JDK の選択
JRun ライセンス キー
JRun の管理者ユーザ用パスワード
JMC Web サーバ ポート
ニュースレターまたは通知の受信
(名前および電子メール アドレスの入力を要求)

javadocs の構築時にエラーが発生する場合がありますが、これらのエラーは無視してかまいません。

インストール スクリプトのパッケージ

標準の UNIX インストール スクリプトを構築する際に、makefile は mk-sh-installer を呼び出します。これにより、JRun インストール スクリプト (*.sh) が作成されます。makefile を使用せずに mk-sh-installer を呼び出すこともできます。この場合、mk-sh-installer は変更済みファイルを含む JRun インストール スクリプトのパッケージを作成します。このスクリプトは/installers ディレクトリ内にあり、jrun-31-unix-us.sh と呼ばれます。

mk-sh-installer スクリプトでは、次の構文が使用されます。

mk-sh-installer script-file core-directory servlet-directory  
  ejb-directory output-file [compressor] [compressor_path]

次に、引数の簡単な説明を示します。
引数
説明
スクリプトに
格納される際の表記
script-file
sh アーカイブを解凍するためにシェル スクリプトで使用するテンプレート
INSTALL_SCRIPT
 
core-directory
/dist/core ディレクトリの位置
CORE_DIRECTORY
 
servlet-directory
/dist/jrun ディレクトリの位置
SERVLET_DIRECTORY
 
ejb-directory
/dist/ejipt ディレクトリの位置
EJB_DIRECTORY
 
output-file
生成された sh アーカイブの名前
OUTPUT_SH
 
compressor
(オプション) シェル スクリプトを
圧縮するためのコマンド。スクリプトは、このコマンドを使用して sh ファイルを構築するときの出力を圧縮します
(例 : bzip2、gzip)。
圧縮コマンドを指定しない場合は、
mk-sh-installer は UNIX の compress
ユーティリティを既定で使用します。
$6
 
compressor_path 
(オプション) アーカイブ ユーティリティへのパス。
このオプションは、汎用 UNIX インストーラを使用するなど、compress ユーティリティを使用しない場合には必須です。
DECOMP_PATH
 

サイレント インストール オプションの使用

UNIX システムでは、JRun OEM 版のサイレント インストールを実行できます。インストールの処理方法を決める 2 つのスイッチをインストール スクリプト内で設定できます。設定可能なオプションは次のとおりです。

サイレント インストールの実行時は、ファイル転送を使用してインストール プロンプトに入力できます。このテクニックの例については、"ConnectorInstaller とファイル転送の併用"を参照してください。

Windows JRun インストーラの構築

Windows OEM リソースでは、InstallShield を使用して JRun インストーラを構築します。


メモ

JRun OEM リソースは、InstallShield 6.2 および Package for the Web バージョン 3.0 を使用して構築されています。InstallShield 6.0 (および Package for the Web バージョ ン 2.0) を使用している場合は、アップグレードしてから作業を続行する必要があります。


クイック スタート

このセクションの手順に従って、まったく変更を加えずに Windows JRun インストーラを構築します。以降のセクションでは、Web アプリケーションやコンポーネントの追加と削除を行ったり、インストール自体を変更できるように JRun をカスタマイズする方法について説明します。


メモ

Windows インストーラには、InstallShield、Package For the Web、および make コマンドを使用するための Cygwin などの UNIX エミュレータが必要です。詳細は、 "OEM ソフトウェアの必要条件"を参照してください。


Windows JRun インストーラをコンパイルするには

  1. jrun-31-win-oem-us.zip ファイルを解凍します。次に例を示します。
    % mkdir jrun-kit 
    % cd jrun-kit
    % jar xf jrun-31-win-oem-us.zip
    
  2. Z ドライブを OEM リソースの場所にマップします。次に例を示します。
    % subst z: <JRun の OEM ルート>
    

    InstallShield は、仮想ドライブ Z を使用してそのファイル グループを見つけます。 つまり、Windows NT の subst コマンドを使用して、構築する前に Z ドライブを JRun の OEM リソース ルートに割り当てておく必要があります。


    メモ

    Z などの仮想ドライブから JRun3.ipr を開くと、InstallShield 6.2 によって既定の メディアが再構築されません。InstallShield でプロジェクトを開くときは、仮想 ドライブ以外のパスを使用してください。


  3. makefile 内で InstallShield の変数のパスを正しく設定します。詳細は、"InstallShield の変数の更新"を参照してください。
  4. make コマンドを実行します。次に例を示します。
    % cd dist
    % make jrun-31-win-us.exe
    

問題が発生した場合は、"構築プロセスについて"を参照してください。

構築プロセスについて

makefile (make コマンドの暗黙引数) は、要求された JAR、WAR、ライブラリ、および /dist ツリー内のプロパティ ファイルを検証してから InstallShield を呼び出し、JRun 実行可能モジュールを作成します。

InstallShield プロジェクト ファイル (jrun 3.ipr) および関連ファイルは /installers/JRun 3 にあります。/dist ツリーのディレクトリは InstallShield プロジェクトのファイル グループに対応しています。

makefile ファイルによって、InstallShield ディレクトリの _isres.dll が /jrun-kit
/installers ディレクトリの _isres.dll のコピーで上書きされます。makefile を実行する前に、_isres.dll ファイルのバックアップを作成してください。

次の表では、/installers ディレクトリの内容について説明しています。
ディレクトリ
内容
/installers/ClusterCATS
ClusterCATS PFW ファイル
/installers/JRun 3
InstallShield プロジェクトおよび PFW ファイル、ファイル グループ定義、およびその他の JRun
インストール用関連ファイル
/installers/JRun 3 DemoShield
JRun DemoShield プロジェクト ファイル
/installers/JRun 3 Web DemoShield
JRun Demo PFW ファイルおよび関連ファイル
/installers/tools
DemoShield プレーヤー ファイル

InstallShield の変数の更新

makefile 内の次の変数が InstallShield のファイルを参照していることを確認する必要があります。

makefile が PFW の正しいバージョンを参照していることを確認します。この参照は、使用している InstallShield のバージョンと一致していなければなりません。

JRun コンポーネントのカスタマイズ

JRun の主要コンポーネントは次の 3 つです。

JSP または EJB/JMS のサポートを削除することによって、JRun インストーラを軽量化することができます。ただし、サーブレットは JRun に必要不可欠なコンポーネントなので削除できません。

UNIX および Windows のいずれの場合も、コンポーネントを削除するには、makefile を編集して適切なファイルまたはディレクトリをスキップするように設定します。Windows では、InstallShield ファイルの変更が必要になる場合もあります。不要なファイル グループを削除します。Windows インストール用の InstallShield プロジェクトでは、ユーザがカスタム インストールを選択した場合に [コンポーネント] ダイアログ ボックスを編集する必要があります。UNIX インストーラでは、sh-install を編集します。