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第3回 テレワーク環境における課題(2)

新型コロナ対策の長期化が予想される現在、テレワーク環境においても、BIツールを使ったデータ分析業務を支障なく遂行できるようにする必要があります。
この連載コラムでは、テレワーク環境でBIツールを使用する場合に発生するさまざまな課題とその解決策について全4回にわたって解説します。
第3回の今回は、データの統合と加工以降のステップにおいて、デスクトップ型構成のBIツールで発生する課題を解説します。

 

 

この連載コラムの概要

 

BIツールをテレワーク環境で使用する際に発生する課題は、BIツールの構成によって異なります。
そのため、本連載の第1回「BIツールの種類とその構成」では、まず、定型レポーティングに使われるレポーティング・ツールと非定型分析に使われるセルフサービスBIツールそれぞれの構成を解説いたしました。

また、昨今の状況から、各種システムやサービスをテレワーク下で使用する場面が増加しています。 一方、セルフサービスBIツールに多く見られるデスクトップ型構成のBIツールについては、在宅・テレワーク環境だからこそ発生する課題についても顕在化してきています。
そこで、第2回「テレワーク環境における課題(1)」第3回「テレワーク環境における課題(2)」では、ソースデータの収集、データの統合と加工、DB作成、分析操作からレポートの共有に至るデータ分析作業のステップに沿って、デスクトップ型構成のBIツールで発生する課題を解説します。

デスクトップ型構成のBIツールをテレワーク環境で使用する際に発生するさまざまな課題の解決には、フルクラウドBIツール(ETLツール、分析用DB及び分析ツールの全てが同一のクラウド内で構成されるBIツール)の利用が有効です。
第4回「フルクラウドBIツールによる課題の解決」では、フルクラウドBIツールの特徴とデスクトップ型構成のBIツールとの違いを、データ分析作業のステップに沿って解説します。

データの統合と加工、DB作成と分析操作における課題

収集したソースデータは、そのまま分析に利用できるとは限りません。
多くの場合、ソースデータには異常値を持つデータが混じっており、これを削除するための「データクレンジング」と呼ばれる処理を行う必要があります。 ※たとえば、全角・半角、株式会社・(株)といった表記の揺れの修正、重複データの検出・統合・削除といったものがクレンジング処理に含まれます。

また、意外と見落としがちなポイントなのが、「1つのソースデータ内に1回の分析に必要な全てのデータ項目が含まれているのは稀だ」という点です。
多くの場合は、複数のソースデータを統合して分析に必要なデータ項目を揃える「データ結合」と呼ばれる処理が必要となってきます。

データクレンジング処理やデータ結合処理では、大量のデータを複雑なロジックで処理する必要があり、処理にかかる時間はCPUの性能に大きく依存します。そのため、普段、オフィスでデスクトップ型構成のBIツールを動かしているPCには、一般的に非常に高性能なCPUが入っています。
一方、テレワーク環境で使用するPCが、個人所有のPCや会社がテレワーク用に準備したPCである場合、CPU性能が低くなる可能性が高く、データの統合と加工に、オフィスで行っていた時の何倍も時間がかかってしまうことになります

データクレンジング処理やデータ結合処理が施されたデータは、DB(データベース)化されますが、デスクトップ型構成のBIツールの場合、分析操作を高速化するために、このDBはPCのメモリ上に作成されます。
分析に必要なデータが大量になればなるほど、このDBのサイズも大きくなるため、より大容量のメモリが必要となります。
つまり、先ほどのCPUと同じく、テレワーク環境で使用するPCのメモリ容量が、普段、オフィスで使っているPCよりも小さくなった場合、分析操作でのレスポンス(応答時間)が低下し、画面がなかなか遷移しない、レポートがなかなか表示されないといったことが発生します。

 

レポートの共有における課題

デスクトップ型構成のBIツールで分析を行った結果を他のユーザーと共有したい場合、2つの方法があります。

(1)エクスポートしたファイルを共有する
1つ目は、最終結果をPDFやExcelなどの形式でファイルとして保存し、それをメール送信したり、ファイルサーバーにアップロードしたりする方法です。
しかし、この方法では、固定的な表やグラフしか共有することができず、他のユーザーが、グラフ形式を別の種類に変更したり、表形式のデータをより詳細なレベルにドリルダウンしたりといった追加の分析操作を行うことはできません。

また、メールで送信する場合はメール作成・添付の手間が発生するうえ、誤送信の防止にも注意が必要です。
ファイルサーバーにアップロードする際も、場合によってはパスワード設定や人や部署単位でアクセスの制御が必要、あるいはVPN接続をしないとサーバーにアクセス出来ないといった課題が出てきます。

(2)サーバー版を利用して共有する
デスクトップ型構成のBIツールで分析を行った結果を他のユーザーと共有するもう一つの方法は、レポート共有用にオプションで販売されているサーバー版を導入し、そこに、レポートだけではなくDBをアップロードして共有する方法です。
この方法であれば、他のユーザーもDBに含まれるすべてのデータにアクセスすることが出来ますので、追加の分析操作を自在に行うことが可能です。

しかし、テレワーク環境では、2つ目の方法を行うには大きな課題があります。
それは、DBのサーバー版へのアップロードに関する問題です。

サーバー版は、当然のことながら、オフィスもしくはデータセンターに設置されたサーバーに導入されます。
一方、テレワーク環境では、自宅にあるPCから大容量のDBを公衆インターネット回線経由でサーバーにアップロードする必要が出てきます。
つまり、ソースデータの収集ステップで発生したトラフィックの問題が、ここでも発生するということになります。さらに、ソースデータの収集ステップでは、ダウンロードであったデータ転送の方向が、ここでは逆のアップロードになりますから、転送速度の面では一層問題が大きいといえます。

 

まとめ

以上のように、デスクトップ型構成のBIツールをテレワーク環境で使用する際、会社で使用していたPCを自宅に持ち帰って使用する場合を除き、CPU性能やメモリ容量の問題で、データ統合と加工処理にかかる時間が増大したり、分析操作のレスポンスが低下したりする可能性があります。
また、最後のレポート共有ステップにおいては、ソースデータの収集ステップと同じくネットワークトラフィックの問題が発生します。

次回は、ここまで解説してきたテレワーク環境における課題を解決するために、フルクラウド型のBIツールの特徴とデスクトップ型構成のBIツールとの違いを、データ分析作業のステップに沿って解説します。

 

 

 

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