ネイティブのサーバ接続モジュール、すなわち「コネクタ」は、特定の Web サーバ、ハードウェア アーキテクチャ、およびオペレーティング システムに対応してコンパイルされています。たとえば、JRun で Netscape Application Server 用のコネクタを作成する場合は、NSAPI を使用し、JRun がサポートする各ハードウェア アーキテクチャおよびオペレーティング システムに合わせて作成します。JRun コネクタは、標準コネクタ サービス プロバイダ インターフェイスを定義する Sun J2EE コネクタとは別のものです。
各 JRun サーバに複数の Web サーバを接続できます。通常の公開環境では、アプリケーションを処理する default JRun サーバに、1 つの Web サーバを接続します。次の図では、default サーバに接続している Web サーバの例を示しています。
アプリケーション リソースへの要求が発生すると、Web サーバ上のコネクタは、JRun サーバ内に存在する JRun 接続モジュール へのネットワーク接続を開きます。接続モジュールは透過的なコミュニケータ (伝達仲介者) としての役割を果たし、コネクタからの要求を変換して JRun サーバに伝達します。JRun サーバは要求を処理し、その結果を接続モジュール サービスに返します。
各 JRun サーバは、それぞれ異なるネットワーク ポート番号を使用して、Web サーバからの要求を受信します。上の図では、default JRun サーバはポート番号 51000 で受信します。JRun サーバと Web サーバ間の接続を構成する場合、ユーザはこのポート番号を指定する必要があります。
また、2 番目のパラメータである「バインド アドレス」を使用して、Web サーバと JRun サーバ間の接続を定義することもできます。バインド アドレスには、JRun サーバが要求を受信できるネイティブ Web サーバの IP アドレスを指定します。既定では、すべての JRun サーバのバインド アドレスは「*」です。* は、JRun サーバがすべての IP アドレスの Web サーバから要求を受信することを表します。
JRun コネクタのプロパティは、Web サーバ マシン上に格納されます。Web サーバのコンフィギュレーション ファイルである jrun.iniには IIS 実装のプロパティが、httpd.conf には Apache のプロパティが、そして obj.conf には Netscape/iPlanet のプロパティが含まれます。
これらのプロパティは接続モジュールの初期化を行います。その際、接続モジュールが JRun サーバを見つけて、どのサーバに接続すべきかを判断できるような設定を使用します。次の表は、Web サーバのコンフィギュレーション ファイルに含まれる JRun プロパティを示します。
プロパティ |
説明 |
---|---|
jrun.rootdir |
jrun.rootdir プロパティは、JRun のインストール先を指定します。たとえば、/opt/JRun や c:¥Progra1¥Allaire¥JRun のように指定します。 |
jvmlist |
jvmlist プロパティは、この Web サーバに接続される JRun サーバの一覧を指定します。たとえば、default、admin、production、qa のように指定します。 |
verbose |
verbose プロパティは、JRun サーバと Web サーバ間の通信に関する、より詳細なログ ファイル エントリを作成します。このログ ファイル エントリは、Web サーバのログ ファイルに影響を与えます。既定値は false です。 |
proxyhost proxyport |
proxyhost および proxyport プロパティは、JRun 接続モジュール (JCM) が接続されるネイティブ コネクタを指示します。JCM は、外部 Web サーバからの要求を受信するサービスです。 proxyhost プロパティは、JRun を実行するコンピュータの IP アドレスを参照します。proxyport プロパティは、JRun が Web サーバからの要求を受信するポートを参照します。Web サーバは、proxyhost アドレス/proxyport の組み合わせを使用して、ソケットに要求を送信します。 JRun をこのポートとアドレスの組み合わせで受信するように設定することも必要です。詳細については、"local.properties ファイル内のコネクタのプロパティ"を参照してください。 コネクタ ウィザードを実行する場合、proxyhost および proxyport は JMC によって設定されます。ただし、同一コンピュータ上にない Web サーバに接続するときは、場合によっては、これらのプロパティを手作業で編集する必要があります。 |
rulespath |
rulespath プロパティは、local.properties ファイルの場所を指定します。local.properties ファイルには、JRun に渡す要求をネイティブ コネクタに指示するマッピング ルールが含まれています。 JRun がリモート コンピュータにインストールされている場合、それらが同じファイル システムにあるときは、rulespath プロパティにリモート コンピュータへの絶対パスを指定する必要があります。一方、異なるファイル システムにあるときは、local.properties ファイルのコピーをローカル ファイル システム上に作成する必要があります。 同じファイル システムを共有していても、ローカル コンピュータに local.properties ファイルをコピーする必要がある場合もあります。 |
scriptpath |
IIS のみ適用されます。scriptpath プロパティは、Web サーバ上の仮想 /scripts ディレクトリを指定します。 |
errorurl |
オプションの errorurl プロパティは、カスタマイズしたエラー メッセージを指定します。既定では、このプロパティはコメント化されています。エラー メッセージのカスタマイズの詳細については、『JRun によるアプリケーションの開発』を参照してください。 |
このセクションでは、Web サーバを JRun に接続する場合の Web サーバのプロパティの例を示し、Web サーバのコンフィギュレーション ファイルのパラメータを具体的に説明します。ここで説明する例では、JRun サーバと Web サーバが同一のコンピュータ上にあるものとします。
Apache Web サーバと同一のコンピュータに JRun の標準インストールを行った場合、httpd.conf ファイルは次のようになります。
LoadModule ステートメントは、マルチ ホスティング環境での VirtualHost ディレクティブの外部に記述する必要があります。これは、LoadModule ステートメントの参照はグローバル レベルで 1 回だけ行うようにする必要があるためです。
LoadModule ステートメントが必要となるのは、JRun を DSO モジュールとして使用する場合だけです。
また、Apache コンフィギュレーション ファイルでは、rulespath の代わりに
Mappings を使用します。
LoadModule jrun_module136 "/opt/JRun/connectors/apache/intel-linux/ mod_jrun.so"
<IfModule mod_jrun.c> JRunConfig jrun.rootdir "/opt/JRun/bin/.." JRunConfig jvmlist default JRunConfig Verbose false JRunConfig ProxyHost 127.0.0.1 JRunConfig ProxyPort 51000 JRunConfig Mappings "/opt/JRun/servers/default/local.properties" </IfModule>
IIS の場合、JRun では jrun.ini ファイルを使用して jrun.dll フィルタを初期化します。一般的な jrun.ini は次のようになります。
jrun.rootdir=C:/PROGRA1/Allaire/JRun
jvmlist=default verbose=false proxyhost=127.0.0.1 proxyport=51000 scriptpath=/scripts/jrun.dll rulespath=C:/Progra1/Allaire/JRun/servers/default/local.properties #errorurl=<optionally redirect to this URL on errors>
Netscape/iPlanet Web サーバの一般的な obj.conf ファイルは次のようになります。
Init jrun.rootdir="C:/PROGRA1/Allaire/JRun" proxyport="51000" verbose="false" proxyhost="127.0.0.1" jvmlist="default" rulespath="C:/Program Files/Allaire/JRun/servers/default/ local.properties" fn="jruninit"
各 JRun サーバの local.properties ファイルの JCP Services セクションには、JRun コネクタに影響を与えるプロパティが含まれます。次の表は、これらのプロパティを示します。
プロパティ |
説明 |
---|---|
jcp.endpoint.main.interface |
JMC の [外部 Web サーバ アドレス] フィールドに対応します。このプロパティを使用すると、JRun に接続可能な Web サーバを制限できます。既定値は、すべての Web サーバ (*) です。JRun サーバは、jcp.endpoint.main.interface プロパティと一致する Web サーバからのみ要求を受け入れます。 |
jcp.endpoint.main.bindaddress |
JMC の [受信アドレス] フィールドに対応します。このプロパティは、外部 Web サーバからの要求を受信する JRun サーバのアドレスを指定します。JRun と Web サーバが同一のコンピュータ上にある場合は、127.0.0.1 に設定されます。 |
jcp.endpoint.main.port |
JMC の [受信ポート] フィールドに対応します。このプロパティは、JRun サーバが外部 Web サーバからの接続を受信するポートを指定します。 |
timeout min.threads active.threads max.threads |
JCP Services セクションの残り の 4 つのプロパティは、スレッドの設定を参照します。これらのプロパティは、JCP の構成に直接影響を与えません。これらのフィールドの詳細については、"並行処理の概要"を参照してください。 |