JRun の機能

J2EE アプリケーションを開発および公開する機能のほかに、JRun には次のようなさまざまな機能があります。

Web サーバーへのプラグイン接続

J2EE アプリケーションを処理するために、Web サーバーは JRun と通信するクライアントとして機能します。このため、サーバーは JRun との接続を確立させる必要があります。JRun は、この接続を行うネイティブサーバー接続モジュールを提供します。

ネイティブサーバー接続モジュール、すなわちコネクタは、特定の Web サーバー、ハードウェアアーキテクチャ、およびオペレーティングシステム用にコンパイルされます。たとえば、JRun は NSAPI を使用して、各ハードウェアアーキテクチャおよび JRun でサポートされているオペレーティングシステムに対して、Netscape Application Server 用のコネクタを作成します。

JRun と Web サーバーとの接続の設定については、『JRun セットアップガイド』を参照してください。

拡張性

ハードウェアの処理能力を十分に活用するように JRun を設定できます。JRun は、次のようなさまざまな種類の拡張性をサポートしています。

単一サーバーの拡張性 この事例では、サーバーに 1 つまたは複数の CPU が搭載されている場合に、JRun を単一サーバーの処理能力に合わせます。拡張性を制御する唯一の方法は、JRun がクライアント要求を処理するために割り当てるスレッド数を制御することです。
JRun は、Java スレッドメカニズムを使用して、複数の要求を同時に処理します。 JRun は各要求に対して新しいスレッドを作成する代わりに、新しい要求のために用意されたハンドラスレッドのプールを維持します。このスレッドのプールは、 Web サーバーに対してさまざまな要求が行われるたびに、拡大したり縮小します。プール用のパラメータは、トラフィックの負荷と Web サーバーの機能のバランスを最適に保ちます。JRun スレッドメカニズムの制御方法の詳細については、『JRun セットアップガイド』を参照してください。
ネットワークの拡張性 JRun Enterprise には、Allaire ClusterCATS が含まれています。ClusterCATS は、Web サーバーと JRun サーバーの高度な有効性を支える HTTP ベースのロードバランスおよびフェイルオーバのサービス機能を提供します。ClusterCATS を使用すると、分散型サーバーをパフォーマンスの高い 1 つの Web サーバーリソース環境にまとめることができます。
ネットワーク上の複数の Web サーバーをクラスタとして構成できます。クラスタに含まれている Web サーバーは、1 つのエンティティとして動作し、その Web サーバー上のリソースへの高速で確実なアクセスが可能です。クラスタは、サーバーのビジー状態や障害によってネットワークの速度が低下する危険性の回避に役立ちます。ClusterCATS を使用すると、帯域幅、応答の遅れ、およびサーバーの輻輳などの問題を回避できます。
ClusterCATS の詳細については、『Allaire ClusterCATS の使用』を参照してください。

セキュリティ

Web サイトは、不正なアクセスから保護する必要があります。JRun は、さまざまなセキュリティレベルをサポートしています。

JRun 管理セキュリティ JRun は、ユーザ名/パスワードベースのセキュリティモデルを提供して、JRun を管理するために使用される JRun 管理コンソール (JMC) へのアクセスを制御します。JMC セキュリティを使用すると、JRun 管理者は組織の開発者ごとにアクセス権を定義できます。この場合、開発者は JRun の特定の領域の管理設定を変更できますが、JRun インストール全体の管理設定は変更できません。
JMC の使用方法の詳細については、『JRun セットアップガイド』を参照してください。
Web アプリケーションセキュリティ Web アプリケーションに関するセキュリティ問題に対処するため、Java サーブレット API バージョン 2.2 の仕様書では、Web アプリケーション内のリソースへのクライアントアクセスを制御するための認証メカニズムが定義されています。Web アプリケーションセキュリティでは、承認された Web クライアントのみが Web サイト上のリソースにアクセスできます。
JRun は、Java サーブレット API 2.2 のセキュリティをサポートしています。Web アプリケーションセキュリティの詳細については、第 39 章を参照してください。
EJB セキュリティ JRun は、EJB セキュリティの実装に関して設定可能なメカニズムを提供します。各 Bean およびそのメソッドのアクセスにより、Access Control List (ACL) を使用してアクセスを許可されたユーザまたはロールを指定できます。公開された各 Bean には、ACL が関連付けられます。
確認するユーザ情報の種類と内容、ロールを構成する情報、および認証の方法などを指定できます。このような柔軟性により、すでに設置されているセキュリティ方式に対応できます。
EJB セキュリティの詳細については、第 4 章を参照してください。

セッショントラッキング

HTTP プロトコルはステートレスです。つまり、Web サーバーには複数の要求/応答を通してクライアントをトラッキングできません。ただし、JRun はクッキーを使用して、Web アプリケーションへの複数の要求に対してクライアントを追跡するために Web アプリケーションに情報を格納できるようにする、セッショントラッキングメカニズムをサポートしています。クライアントが Web アプリケーション内で別のページに移動しても、情報は破棄されず、ユーザセッションが継続している間、保持されます。

JRun はまた、ステートフル EJB を使用してセッションのトラッキングをサポートします。ステートフル EJB は、複数の HTTP 要求と複数のメソッド呼び出し全体でクライアントの情報を保持します。

セッショントラッキングには次のような利点があります。

アクセス制御を実装する Web サイトの場合、複数の要求に対してクライアントを追跡すると、クライアントが要求のたびにログインし直す必要がなくなります。
クライアントの名前を表示した個人的なあいさつ文を各ページに追加できます。
クライアントをショッピングカートに関連付けて、クライアントが購入する商品を追跡できます。

JRun セッションのトラッキングメカニズムでは、単一の Web アプリケーションへの複数の要求に対してのみクライアントを追跡できます。複数の Web アプリケーションへの要求に対するクライアント情報を追跡するには、EJB を使用してください。

セッショントラッキングを有効にする方法の詳細については、『JRun セットアップガイド』を参照してください。

監視ユーティリティ

JRun には、アプリケーションの実行を監視するためのさまざまなユーティリティが付属しています。これらのユーティリティは、アプリケーションをデバッグする場合や、アプリケーションの最適化の一環として実行時のボトルネックを識別するために使用できます。

JRun 監視ユーティリティには、次のツールが含まれます。

ロギング アプリケーションを実行している間、JRun から情報、警告、エラー、デバッグメッセージなどが出力されます。JRun ロギングユーティリティは、アプリケーションから、ファイル、画面、電子メールメッセージなど、数種類の出力先にこれらのメッセージを転送できます。ロギングの詳細については、第 38 章を参照してください。
メソッドタイミング メソッドタイミングでは、サーブレットのメソッドとサーブレットのメソッドから呼び出されるメソッドに関する実行時間を記録することができます。これらの実行時間は、アプリケーションのボトルネックを識別するために役に立ちます。メソッドタイミングの詳細については、第 40 章を参照してください。
接続ステータス JRun では、JRun サーバーと Web サーバーの接続に関するステータス情報が、JRun ログファイルに書き込まれます。このステータス情報は JRun サーバーとサードパーティ製 Web サーバーまたは JRun Web サーバー (JWS) のいずれかの接続から取得できます。接続ステータス情報の詳細については、第 37 章を参照してください。

開発ツール

JRun のさまざまな開発ツールには、JRun にバンドルされているものと、アドオンツールとして別個に購入できるものがあります。

JRun Studio

JRun Studioは、JRun アプリケーションを作成するためのビジュアル開発ツールです。この製品は、JRun とは別に販売されています。JRun Studio は、次のような強力なプログラミングツールによって開発者の生産性を高めます。

ビジュアルプログラミング ソース編集に透過的に統合される強力な双方向ビジュアルプログラミングツールにより、開発を促進します。
高度なデバッグツール 高度なデバッグツールを使用して JRun アプリケーションのデバッグを支援します。
HTML デザインツール 数々の賞を受賞した HTML デザインツール、
Macromedia HomeSite のすべての機能が含まれています。
Deploy ツール JRun アプリケーションの公開を容易にするユーティリティが含まれています。

Studio の直観的に操作できる GUI インターフェイスによって、アプリケーションの構築に必要なツールが利用できます。また、JRun Studio によって、任意の JDBC データベースのデータの選択、挿入、更新、または削除を行う複雑な SQL ステートメントを作成できます。また、HTTP を通じてリモートサーバー上のデータベースに接続できます。これは複雑なネットワーク設定を必要としません。

JRun 管理コンソール

JRun 管理コンソール (JMC) は、JRun を設定するための Web ベースのツールです。JMC を使用するには、Netscape Navigator または Microsoft Internet Explorer のバージョン 4.0 以降が必要です。次の図は、JMC を示します。

JRun によるアプリケーションの開発
JRun の概要