JRun の機能

JRun 4 では、次のように多くの新機能および拡張機能が提供されています。

J2EE コンポーネントのダイナミックデプロイ

JRun には、オートデプロイおよびホットデプロイ機能が備わっており、Java アーカイブファイルまたは展開したディレクトリから、Web アプリケーション、EJB、エンタープライズアプリケーション、およびエンタープライズリソースアダプタをダイナミックにデプロイすることができます。J2EE モジュールアーカイブファイルまたはディレクトリをデプロイディレクトリ (デフォルトでは、<JRun のルートディレクトリ>/servers/<JRun サーバ>) にコピーすると、JRun はアプリケーションまたはモジュールを実行中のサーバに自動的にデプロイするか、サーバの次回起動時にデプロイします。モジュールアーカイブファイルまたはデプロイメントディスクリプタを変更すると、デプロイはダイナミックに更新されます。詳細については、『JRun アセンブルとデプロイガイド』を参照してください。

サーブレットおよびクラスのダイナミックなリロードとコンパイル

サーブレットまたは JSP が呼び出されたときに、サーブレット、JSP、サーブレットヘルパークラス、および JSP ヘルパークラスをダイナミックに再コンパイルしてリロードするように JRun を設定できます。コンパイルおよびリロード機能が有効になっている場合、JRun はサーブレットが呼び出されたときに自動的にサーブレットを再コンパイルしてリロードします。JRun は、WEB-INF/classes ディレクトリ内のクラスおよびタグライブラリクラスがサーブレットまたは JSP によって呼び出されたときに、これらのクラスをダイナミックに再コンパイルしてリロードします。この機能は、デフォルトで無効になっています。

次のテキストを含む WEB-INF/jrun-web.xml ファイルを作成して、リロードおよびコンパイル値を false または true に設定し、ダイナミックコンパイルおよびリロードを有効にします。

<jrun-web-app>
<reload>true</reload>
<compile>true</compile>
</jrun-web-app>

詳細については、『JRun アセンブルとデプロイガイド』を参照してください。

エンティティ bean 用データベーステーブルのダイナミック作成

必要とされるデータベーステーブルが存在しない状態でエンティティ bean をデプロイすると、JRun で適切な JDBC (Java Database Connectivity) データソースが設定されていれば、JRun はデータベーステーブルを作成できます。詳細については、『JRun プログラマーガイド』を参照してください。

JRun Server タグ (JST)

JST テクノロジーは JSP 1.2 および再帰をサポートします。JST により、カスタムタグハンドラ API ではなく JSP シンタックスを使用してカスタム JSP タグを記述できます。再帰を使用すると、JST は自分自身を呼び出すことができます。

JMC (JRun 管理コンソール)

再設計された、JMX を使用できる JMC は、ローカルおよびリモート JRun サーバを管理するために、使いやすく直感的なユーザーインターフェイスを提供します。JMC を使用すると、サーバを作成し、クラスタを定義し、アプリケーションを管理し、JAAS に基づいたセキュリティを実装できます。詳細については、JMC オンラインヘルプを参照してください。

Web サーバ設定ツール

JRun には、主要な Web サーバ用のネイティブコネクタが用意されています。Web サーバ設定ツールを使用して、各 JRun サーバに 1 つ以上の Web サーバを接続できます。スタンドアローンツールである Web サーバ設定ツールでは、Web サーバホストに JRun を必要としません。外部 Web サーバへの JRun の接続の詳細については、『JRun インストールガイド』を参照してください。Web サーバコネクタの詳細については、『JRun 管理者ガイド』を参照してください。

クラスタリング

JRun は、信頼性と拡張性を最大にするためにエンタープライズレベルのサーバクラスタリングを提供します。クラスタリングは、Web サーバコネクタおよび JRun カーネルにビルトインされています。

セキュリティ

JRun は、次のレベルのセキュリティを含む、JAAS 1.0 仕様をサポートします。

エンタープライズデプロイウィザード

JRun には、EJB の開発、パッケージ、およびデプロイを行うためのエンタープライズデプロイウィザードが用意されています。Swing ベースのグラフィカルユーザーインターフェースを使用して、あらゆるタイプの EJB を作成したり、既存の EJB のデプロイメントディスクリプタを編集して JAR ファイルにパッケージし、JRun にデプロイしたりすることができます。とくに、エンタープライズデプロイウィザードのオブジェクト関係マッピング機能を使用すると、エンティティ bean 開発処理を簡素化できます。

エンタープライズデプロイウィザードは、スタンドアローンツールとして実行したり、Java IDE (統合開発環境) の上部でプラグインとして実行することができます。

エンタープライズデプロイウィザードを起動するには、<JRun のルートディレクトリ>/bin/jrunwizard.exe (Windows) または <JRun のルートディレクトリ>/bin/jrunwizard (UNIX) を実行します。

IDE にエンタープライズデプロイウィザードをインストールするには、<JRun のルートディレクトリ>/lib ディレクトリをコンソールウィンドウに表示し、次のコマンドを実行します。

java -jar jrunwizard-installer.jar

現在サポートされている IDE のリストについては、リリースノートを参照してください。

エンタープライズデプロイウィザードの特徴は、状況に応じて表示内容が変わるオンラインヘルプシステムです。使用法については、オンラインヘルプを参照してください。

XDoclet 統合

JRun は、一般的なオープンソース Java ユーティリティである XDoclet と統合できます。XDoclet は、Javadoc スタイルのタグを使用するコンポーネントメタデータを 1 つのソースファイルで保持でき、J2EE モジュール (EJB、サーブレット、カスタムタブなど) の開発を大幅に簡略化します。

たとえば、EJB を作成する場合、これまでは、ホームインターフェイス、リモートまたはローカルインターフェイス、実装クラス、デプロイメントディスクリプタの 4 つの異なるファイルを保持する必要がありました。XDoclet を使用する場合は、1 つのソースファイル (実装クラス) のみを保持します。このソースファイルに、補助ファイルの構築方法を示す特別な Javadoc タグを使用して注釈を付けます。JRun は、ソースファイルへの変更を検出し、補助ファイル (インターフェイスやデプロイメントディスクリプタなど) を自動的に構築します。詳細については、『JRun プログラマーガイド』を参照してください。

Pointbase データベースサーバ

JRun には、Pointbase Server DBMS (Database Management Software) の制限されたバージョンが含まれています。これは、JRun のサンプルアプリケーションで使用する、すべて Java で構成されたデータベースです。このデータベースサーバを使用して評価および開発を行うことができます。PointBase データベースの詳細については、<JRun のルートディレクトリ>/pointbase/docs にある PointBase のドキュメントを参照してください。(<JRun のルートディレクトリ> とは JRun をインストールしたディレクトリです。)

JDBC ドライバ

JRun では、主なデータベースに接続する、Type 4 JDBC データベースドライバを含んでいます。

サンプルアプリケーション

samples JRun サーバには、多数のコーディング技法を紹介するさまざまなアプリケーションが用意されています。次の表は、JRun に付属しているサンプルアプリケーションを示しています。
アプリケーション
説明
Compass travel
オンライン旅行代理店の簡単な旅行予約システム。このアプリケーションは、JSP、サーブレット、および EJB プログラミングを具体的に紹介するもので、オープンディレクトリ構造内のエンタープライズアプリケーションとして配布されます。Compass travel は、compass データベースを使用し、JMC により表示される compass データソースを通じてこのデータベースにアクセスします。付属のチュートリアルレッスンについては、 「チュートリアル」 を参照してください。
TravelNet
Compass travel の旅行を販売するオンラインの旅行代理店。このアプリケーションは、JSP および Web サービスプログラミングについて具体的に紹介するものです、オープンディレクトリ構造内のエンタープライズアプリケーションとして配布されます。付属のチュートリアルレッスンについては、レッスン4の「Web サービスのチュートリアル」を参照してください。
World music
音楽を販売する電子商取引アプリケーション。このアプリケーションにも、admin モジュールが含まれています。World music アプリケーションでは、JSP、サーブレット、および JavaBean プログラミングを使用する一般的な設計パターンを多数紹介します。World music サンプルアプリケーションは、worldmusic データベースを使用し、JDBC を通じてこのデータベースに直接アクセスします。
Web サービス
JRun Web サービスプログラミングに使われるプログラミング技法。
Programming techniques
このマニュアルで説明されているプログラミング技法。techniques アプリケーションは、samples データベースを使用し、JMC から表示できる samples データソースを通じてこのデータベースにアクセスします。
Flash ゲートウェイ
JRun と通信する Flash アプリケーションを記述する方法を紹介する、Flash ムービーおよび Flash ゲートウェイアダプタ。
SmarTicket
Java Blueprints J2ME アプリケーション。SmarTicket アプリケーションでは、J2EE プラットフォームを J2ME (Java 2 Micro Edition) プラットフォームと同時に使用して、携帯電話、双方向ポケットベル、パームトップなどのモバイルクライアントデバイスを利用するエンタープライズアプリケーションを作成する方法を示します。
SmarTicket アプリケーションは、smarticket データベースを使用し、JMC から表示できる smarticket データソースを通じてこのデータベースにアクセスします。
Java PetStore
J2EE 1.3 プラットフォーム機能を使用して一般的な電子商取引アプリケーションを開発する方法を示す Java Blueprints J2EE アプリケーションです。これにより、発注とクレジットカード情報の取得および処理、ユーザーログイン、出荷情報、およびショッピングカートセッションの管理を行うことができます。

Web サービス

JRun を使用すると、Web サービスをパブリッシュして使用することができます。Web サービスは、HTTP などの標準インターネットプロトコルと XML を使用して、プラットフォームや場所に依存しないコンピューティングを行います。以前は互換性のなかったアプリケーションを、言語、プラットフォーム、またはオペレーティングシステムに関係なく、Web 上で相互運用できるようにすることで、Web サービスは新しいビジネスチャンスを作り出し、企業がビジネス関係の変化に適応できるようにします。たとえば、Microsoft .NET コンポーネントは、EJB (Enterprise JavaBean) などの J2EE コンポーネントと通信できます。

JRun を使用して、既存の Java コードを Web サービスとして再利用したり、Web サービスとしてパブリッシュするための新規コードを記述したりすることができます。これらのサービスが Java 以外のプラットフォームに存在する場合でも、リモートの Web サービスでメソッドを呼び出すことができるオブジェクトベースおよびタグベースのクライアントを作成することもできます。

JRun の Web サービスの実装は、Apache Software Foundation の SOAP (Simple Object Access Protocol) エンジンの第 3 世代である Apache Axis で構築されます。詳細については、『JRun プログラマーガイド』を参照してください。

JRun 4 機能の詳細については、<JRun のルートディレクトリ>/relnotes.htm にあるリリースノートを参照してください。