JRun サーバー

JRun サーバーは、Web サーバーが Java サーブレット、JSP、および EJB を含む J2EE アプリケーションを処理するために必要なサービスを提供します。JRun サーバーは、Web サーバー プロセスの外部で独自のプロセスで実行されます。JRun サーバーを別個のプロセスで実行することには、いくつかの利点があります。

JRun では 1 つのインストールによって複数の JRun サーバーをサポートできます。複数のサーバーを作成する理由の 1 つは、アプリケーションをコンピュータ上の異なるプロセス内に隔離するためです。たとえば、JRun サーバー内のすべてのアプリケーションは 1 つのプロセスで実行します。アプリケーションを複数の JRun サーバーに分離することによって異なるプロセスを使用し、アプリケーションが別のアプリケーションに悪影響を与えないようにすることができます。

アプリケーションをそれぞれ異なる JRun サーバーで実行するもう 1 つの理由は、各 JRun サーバーが独自のユーザ認証メカニズムまたは一連のユーザ認証ルールを実装できるようにするためです。異なる JRun サーバーでアプリケーションを実行することによって、特定のサーバーの認証設定を利用できます。認証の詳細については、第 39 章を参照してください。

インストール済みの JRun サーバー

インストール中に、JRun は admin JRun サーバーと default JRun サーバーという 2 つのサーバーを作成します。また、各 JRun サーバーごとに JWS が作成されます。次の図は、この構成を示します。

この図は、JRun のプロセス ビュー、言い換えると、各 JRun サーバー プロセスの内部で実行されるサービスを示しているため、前の JRun システムの図とは異なります。図のように、各サーバーに関連付けられている JWS は、そのサーバーのプロセス内で実行されます。

admin サーバーは、JRun 管理コンソール (JMC) を含む JRun に付属するすべての管理アプリケーションを実行します。このサーバーは、アプリケーションの開発用に使用しないでください。

Web アプリケーションの場合と同様にアプリケーション リソースへの HTTP 要求を作成して、JMC アプリケーションにアクセスします。したがって、adminサーバーは、関連付けられた JWS を実行してこれらの要求を処理する必要があります。既定では、HTTP 要求に応答するadmin に関連した JWS は、8000 より大きいポートを介して受け取ります。このポート番号への要求は次の形式になります。

http://localhost:8000/resourceName

この例では、resourceName は、サーブレット、JSP、HTML ページ、またはその他の Web リソースを表します。たとえば、JRun 管理コンソールに接続するには、次の URL を使用します。

http://localhost:8000/security/login.jsp

default JRun サーバーは、Java サーブレット、JSP 、EJB、Web アプリケーションの開発、テスト、および公開に必要なサービスを提供します。default JRun サーバーは、JRun デモ アプリケーションのホスティングもします。HTTP 要求に応答する default に関連付けられている JWS は、8100 より大きいポートを介して受け取ります。このポート番号への要求は次の形式になります。http://localhost:8100/resourceName

たとえば、JRun デモ アプリケーションに接続するには、次の URL を使用します。http://localhost:8100/demo

既定では、JRun サーバーが起動すると、対応する JWS も起動しますが、JRun サーバーと通信するようにサードパーティ製 Web サーバーを設定できます。詳細については、"Web サーバー" を参照してください。この場合、JWS を使用して要求を処理する必要はなくなります。このため、あらかじめ JWS を無効にできます。JRun Web サーバーを無効にする方法の詳細については、『JRun セットアップ ガイド』を参照してください。


注意

admin JRun サーバーに関連付けられている JWS のシャットダウンまたは無効化は、 ほかの Web サーバーを admin JRun サーバーに接続するように設定してから行って ください。ほかの Web サーバーを設定しないで、JWS のシャットダウンまたは無効化 を行うと、admin JRun サーバーと通信する方法がなくなるため、JRun の管理を実行 できなくなります。


JRun サーバーは、Web サーバーが起動された後にのみ要求に応答します。JRun を Windows NT システムにインストールする際に、JRun を Windows NT サービスとして設定できます。Windows NT システムを起動すると、admin サーバーと default サーバーの両方が起動されます。さらに、Windows NT では、[コントロール パネル] の [サービス] から JRun の起動および停止を行うこともできます。Windows 95/98 または UNIX プラットフォームで JRun を実行する場合は、システムを起動した後で各 JRun サーバーを手作業で起動する必要があります。

JRun サーバーの起動および停止については、『JRun セットアップ ガイド』を参照してください。

JRun サーバーと Java Virtual Machine (JVM) の併用

Java サーブレット、JSP、および EJB は、すべてサーバー側の Java の例です。JRun サーバーで Java コードを実行するには、JRun サーバーは Java Virtual Machine (JVM) によってロードされる必要があります。JVM は、Java バイト コードを JRun サーバーのホストとなる特定のコンピュータ用のオブジェクト コードに変換します。

各 JRun サーバーには、1 台の JVM が関連付けられます。このため、JRun サーバー内のすべてのサーブレット、JSP、EJB、および Web アプリケーションは、1 台の JVM で実行されます。JVM に関する必要条件は、JVM バージョン 1.1.6 以降の仕様を満たしていることのみです。ただし、EJB を開発する場合はバージョン 1.2 以降が必要です。


メモ

Microsoft Windows バージョンの JRun には、バージョン 1.2 の JVM が付属している ため、JVM を独自に入手する必要はありません。ただし、UNIX バージョンの JRun の 場合、JRun と互換性のある JVM を独自に入手する必要があります。互換性のある JVM の詳細については、『JRun セットアップ ガイド』を参照してください。


JRun では、使用する JVM のベンダの指定はありません。たとえば、JRun を Microsoft の JVM または Sun の JVM によってロードするように設定できます。JVM の選択の詳細については、『JRun セットアップ ガイド』を参照してください。