JRun サーバ

JRun サーバは、サーブレット、JSP、および EJB を含む J2EE アプリケーションを処理するために Web サーバが必要とするサービスを提供します。JRun サーバは、Web サーバ処理の外部で独自の処理を実行します。処理ごとに JRun サーバを実行すると、次の利点があります。

JRun では 1 つのインストールによって複数の JRun サーバをサポートできます。複数の JRun サーバを作成する理由の 1 つは、個別のコンピュータのプロセス内でアプリケーションを分離するためです。たとえば、各 JRun サーバは、その JRun サーバのすべてのサーブレット、JSP、および EJB を実行する 1 つの JVM (Java Virtual Machine) と関連付けられています。JVM は JRE とも呼ばるもので、ソフトウェア的に実装された CPU です。これには、Java プラットフォーム用に作成されたプログラムを実行するのに必要なすべての機能が含まれています。アプリケーションを複数の JRun サーバ、すなわち自身の JVM に分離することで、別のアプリケーションが悪影響を与えないようにできます。さらに、各アプリケーションのクラスパス、データソース、EJB、およびその他のリソースをサーバレベルで定義できます。

アプリケーションを異なる JRun サーバで実行するもう 1 つの理由は、各 JRun サーバが独自のユーザー認証メカニズムまたは一連のユーザー認証ルールを実装できるようにするためです。これにより、特定のサーバの認証設定を利用できます。認証の詳細については、『JRun 管理者ガイド』を参照してください。

JRun サーバの使用方法

JRun は、JRun サーバで他の機能の起動、停止、および実行を行うユーティリティを備えています。このセクションは、さまざまな JRun プラットフォームに対応したこれらのユーティリティについて説明します。

Windows に関する検討事項

JRun サーバは、起動しないとリクエストに応答しません。JRun を Windows NT または 2000 システムにインストールする際に、JRun を Windows NT サービスとして設定できます。サービスを選択した場合、Windows NT または 2000 システムを起動すると、JRun は 3 つのすべてのサーバを起動します。サービスは、ユーザープロセスとしてではなく、システムプロセスとして実行されます。[スタート] > [プログラム] > [管理ツール] > [サービス] にあるサービスコントロールパネルを使用して、JRun の起動、停止、および再起動を行うことができます。Windows NT や 2000 以外の Windows プラットフォーム、または UNIX プラットフォームで JRun を実行する場合は、システムを起動した後で各 JRun サーバを手動で起動する必要があります。サービスとして実行しない場合、JRun はアプリケーションとして実行されます。

JRun サーバの起動と停止の詳細については、『JRun 管理者ガイド』または JMC オンラインヘルプを参照してください。

JRun サーバの起動と停止

JRun サーバは次の方法で起動および停止できます。

JRun サーバランチャーの使用

JRun サーバランチャーは、JRun サーバを起動、再起動、および停止するための Java Swing アプリケーションです。<JRun のルートディレクトリ>/bin ディレクトリの jrun.exe ファイル (Windows) または jrun 実行可能ファイル (UNIX) を実行して、ランチャーを実行します。ランチャーには、JRun サーバの起動、再起動、および停止のボタンがあります。

  1. [スタート] > [プログラム] > [Macromedia JRun 4] > [JRun ランチャー] を選択します。

    [JRun ランチャー] ウィンドウが表示されます。

  2. JRun サーバを選択し、[起動]、[停止]、または [再起動] をクリックします。

コマンドラインの使用

jrun.exe および jrun コマンドラインユーティリティを使用して JRun を起動および停止できます。次の構文を使用します。

jrun {options} {server-name}

次の表では、オプションについて説明します。
オプション
説明
-start
JRun を起動します。
-stop
JRun を停止します。
-restart
JRun を再起動します。
-status
すべての JRun サーバまたは指定した JRun サーバのステータス情報を表示します。
-nohup
別のプロセスで JRun を起動します。
-config path-to-jvm.config
JVM 設定ファイルのパスを指定します。デフォルトである jrun_root/bin/jvm.config を上書きし、JVM の設定内容を決定します。
-version
JRun のバージョン番号を表示します (主に OEM で使用)。
-info
追加情報を表示します (主に OEM で使用)。

インストール済みの JRun サーバ

インストール時に、JRun では admin、default、および samples という 3 つの JRun サーバが作成されます。 また、各 JRun サーバごとに JWS が作成されます。次の図は、admin サーバと default サーバの設定を示します。

この図は、admin JRun サーバーと default JRun サーバーの設定を示します。

この図は、JRun の処理ビュー、すなわち各 JRun サーバ処理の内部で実行されるサービスを示しているため、前の JRun システムの図とは異なります。図に示すように、各サーバに関連付けられた JWS はそのサーバの処理内で実行されます。

JRun をインストールすると、未使用の Web サーバのポート番号をデフォルトの位置からダイナミックに割り当てます。次の表は、JRun サーバのデフォルトの JWS ポート位置をリストします。
JRun サーバ
デフォルトの JWS ポート番号
admin
8000
default
8100
samples
8200

Web サーバは次の場所でポートを設定できます。

JRun ポートの詳細については、『JRun 管理者ガイド』を参照してください。

admin サーバ

admin JRun サーバは、JRun 管理コンソール (JMC) など、JRun に付属するすべての管理アプリケーションを実行します。このサーバまたはこのポートの位置で JMC を実行する場合、制限はありません。

Web アプリケーションの場合と同様に、アプリケーションリソースへの HTTP リクエストを作成して、JMC アプリケーションにアクセスします。したがって、admin サーバは、関連付けられた JWS を実行してこれらのリクエストを処理する必要があります。

デフォルトでは、admin サーバと関連付けられた JWS は、ポート 8000 を介して受信した HTTP リクエストに応答します。このポート番号へのリクエストは、http://localhost:8000 の後に付けられます。たとえば、JRun 管理コンソールに接続するには、http://localhost:8000 という URL を使用します。

JMC は、[スタート] > [プログラム] > [Macromedia JRun 4] > [JRun 管理コンソール] を選択して開くこともできます (Windows のみ)。

default サーバ

default JRun サーバは、サーブレット、JSP、EJB、および Web アプリケーションの開発、テスト、およびデプロイに必要なサービスを提供します。default サーバに関連付けられた JWS は、ポート 8100 を介して受信した HTTP リクエストに応答します。このポート番号へのリクエストは、http://localhost:8100 という形式を含んでいます。

デフォルトでは、JRun サーバが起動すると、対応する JWS も起動します。サードパーティ Web サーバをデフォルト JRun サーバと通信するように設定する方法については、『JRun インストールガイド』を参照してください。

samples サーバ

samples サーバは、http://localhost:8200 で次の JRun サンプルアプリケーションをホスティングします。
アプリケーション
説明
Compass travel
オンライン旅行代理店の簡単な旅行予約システム。このアプリケーションは、JSP、サーブレット、および EJB プログラミングを具体的に紹介するもので、オープンディレクトリ構造内のエンタープライズアプリケーションとして配布されます。Compass travel は、compass データベースを使用し、JMC により表示される compass データソースを通じてこのデータベースにアクセスします。付属のチュートリアルレッスンについては、83II 「チュートリアル」を参照してください。
TravelNet
Compass travel の旅行を販売するオンラインの旅行代理店。このアプリケーションは、JSP および Web サービスプログラミングを具体的に紹介するもので、オープンディレクトリ構造内のエンタープライズアプリケーションとして配布されます。付属のチュートリアルレッスンについては、レッスン4の「Web サービスのチュートリアル」を参照してください。
World music
音楽を販売する電子商取引アプリケーション。このアプリケーションにも、admin モジュールが含まれています。World music アプリケーションでは、JSP、サーブレット、および JavaBean プログラミングを使用する一般的な設計パターンを多数紹介します。World music サンプルアプリケーションは、worldmusic データベースを使用し、JDBC を通じてこのデータベースに直接アクセスします。
Web サービス
JRun Web サービスプログラミングに使われるプログラミング技法。
Programming techniques
このマニュアルで説明されているプログラミング技法。techniques アプリケーションは、sample データベースを使用し、JMC から表示できる sample データソースを通じてこのデータベースにアクセスします。
Flash ゲートウェイ
JRun と通信する Flash アプリケーションを記述する方法を紹介する、Flash ムービーおよび Flash ゲートウェイアダプタ。
SmarTicket
Java Blueprints J2ME アプリケーション。SmarTicket アプリケーションでは、J2EE プラットフォームを J2ME (Java 2 Micro Edition) プラットフォームと同時に使用して、携帯電話、双方向ポケットベル、パームトップなどのモバイルクライアントデバイスを利用するエンタープライズアプリケーションを作成する方法を示します。
SmarTicket アプリケーションは、smarticket データベースを使用し、JMC から表示できる smarticket データソースを通じてこのデータベースにアクセスします。
Java PetStore
J2EE 1.3 プラットフォーム機能を使用して一般的な電子商取引アプリケーションを開発する方法を示す Java Blueprints J2EE アプリケーションです。これにより、発注とクレジットカード情報の取得および処理、ユーザーログイン、出荷情報、およびショッピングカートセッションの管理を行うことができます。