3.クラウドBIツールのアーキテクチャ
現在のクラウドBIツールは、その製品・サービスの開発経緯によってアーキテクチャが大きく異なり、大別すると2種類に分類できます。
1つ目は、もともとオンプレミス環境で提供されたBIツールを、クラウド環境で動作させることでサービスとして提供しているオンプレミス兼用タイプのクラウドBIツールです。
これらのクラウドBIツールは、オンプレミス環境でもクラウド環境でも使用できるという特徴があります。従って、オンプレミス環境で利用中のBIツールと同じ製品で、クラウド環境に移行することができますので、エンドユーザから見て、現在と同じ使い勝手を実現することができるというメリットがあります。
しかし、このタイプのサービスには、分析用のデータベースやデータ変換用のETLツールが含まれていませんので、これらをユーザ側で別途用意する必要があります。そのため、後述するクラウド専用タイプと比較すると、システム全体としての導入及び運用コストが割高になる傾向があります。
2つ目は、最初からクラウド環境でのサービス利用を想定して開発されたクラウド専用タイプのBIツールです。これらのBIツールは、オンプレミス環境では使用できませんが、分析用のデータベースやデータ変換用のETLツールがサービスの一部として含まれています。
クラウド専用タイプのBIツールは、オンプレミス環境からの移行の場合には、同じ使い勝手を実現することはできませんが、新規のBIシステム環境を構築する場合には、オンプレミス兼用タイプと比較すると、構成がシンプルになるため、導入及び運用が容易であるといえます。
クラウド専用タイプのBIツールの代表例がGoodDataです。GoodDataの場合、プラットフォームは、データ・ディスカバリーとデータ・ガバナンスの2階層で構成されています。
データ・ディスカバリー層は、分析及び可視化機能を実現する階層で、オンプレミス兼用タイプのBIツールと同じような機能範囲をカバーしています。
一方、データ・ガバナンス層では、収集、格納及び結合機能を実現しています。この階層があることで、分析用のデータベースやデータ変換用のETLツールに相当する機能範囲をカバーしています。
次のページでは、クラウドBIツールのデータ変換・分析DB機能について説明します。